まさかのミスと悔しさ、申し訳なさで、押し寄せる涙は止められなかった。女流による早指し団体戦「第2回女流ABEMAトーナメント」の予選Bリーグ第3試合、チーム西山とチーム渡部の対戦が11月13日に放送された。注目の第1局は、西山朋佳女流三冠と渡部愛女流三段というリーダー対決になったが、序盤で渡部女流三段に見落としがあり、一瞬で劣勢に。そのままいいところなく敗れた直後「将棋どころか、大変申し訳ないところを見せてしまった」と号泣した。
初戦をスコア2-5で落としたチーム渡部は、このチーム西山戦でスコア5-1での勝利することが予選通過への厳しい条件だった。それには相手のエース西山女流三冠を倒さないことには始まらない。監督を務めた広瀬章人八段のアイディアでもあり、リーダー渡部女流三段を初戦から出し、リーダー対決での勝利で大逆転での予選突破に向けた勢いをつけるというプランだった。
ただ落とし穴は序盤にあった。ふと見せた隙を西山女流三冠に逃さず突かれると、ここからあっという間に劣勢に。実力者であるほど挽回がきかないところまで追い込まれ、解説を務めた大平武洋六段が「団体戦じゃなければ、投了している」という時間が続いたが、悔やんでも悔やみきれない見落としは取り戻せず、67手の短手数で投了となった。
大逆転を目指すはずの第1局で痛恨の完敗。周囲への気遣いと人柄のよさで知られる渡部女流三冠だけに、終局後のインタビューでは「ちょっと酷すぎて…」と話したところで目には大粒の涙。「監督にもチームメイトにも申し訳ないです」と話した後は、しばらく言葉も出ず、泣き続けた。最後には「冷静になって、また頑張りたいと思います」と切り替えたが、第4局でも再び西山女流三冠に敗戦。リベンジは果たせなかった。
それでもリーダーとしての責任を背負い、その大きさを象徴するかのような渡部女流三段の涙には、多くのファンが心を打たれたようで「チーム戦でこれはキツイね」「プレッシャーと責任感の強い娘なんや」「団体戦って熱いな」「思いが凄いね」「から回っちゃったかなー」と温かい言葉が多く集まっていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)