「ポーズでやっているようなことはやめよう、と主張するのが大人の責任」新規感染者数が減少する中、今やるべきことは?
いま必要な感染対策をEXITと学ぶ
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 25日、新規感染者が今年最少の5人だった東京都。モニタリング会議では「通常医療との両立が安定的に可能な状況にあると思われる」との認識が示され、医療提供体制は最も低い警戒レベルへの引き下げが決まった。足元の感染状況、そして“人数制限”について、看護師で感染症対策コンサルタントの堀成美氏は次のように話す。

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 「発表されている数字は実数ではないし、無症状の人にもバンバン検査している韓国に比べれば日本は検査数が少ないので、実際の感染者はもっといるだろう。この数に一喜一憂するのは注意した方がいいのはこれまで通りだ。

 ただ、高いワクチン接種率のシンガポールでは、日に3000人くらいの報告が上がっていたが、98%は無症状かマイルドな症状で、重症になったり入院したりしている人は、ワクチンを打っていない人たちだ。日本の接種率が76%まで来ているのは確かにすごいが、決して十分ではないし、次に火が付くとしたらそこだ。実家に住民票を置いたまま東京に住んでいる人は分母にすら入っていないし、接種券がないから打っていないと言って感染しているのは、そういう人たちだ。

 それでも“感染したら負け”とか、"感染した人は悪い人だ"、みたいな扱いをせず、みんなが個人でできる範囲で工夫し合うことでお食事会もできるし、感染拡大は防げると私は思う。そうじゃないと、何のためのワクチンを打ったのかということになる」。

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 いよいよ忘年会シーズンに突入する中、東京都の小池知事は「12月1日から1月16日までは、1グループ8人までの利用をお願い」と、都内の飲食店での人数制限を従来の“4人以内”から“8人以内”に緩和する意向を明らかにしている。

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 堀氏は「人数を制限する意味はあまりないし、徹底して監視できるわけでもない。ただ、何もないとみんなが困るし、“やっているふり”をしないといけないので、目安として出したものだと思う。また、“4人”という数字に意味があるとしたら、大きな声を出さなくても会話ができるくらいの人数ということだと思う。もともとあった“飛沫が飛ぶリスクを小さく”というところに“みんながワクチン打っているから”という話が入ってきて複雑になってきているということだ。

 とはいえ、なぜ6人じゃなくて8人なのか、あるいは10人じゃなくて8人といった説明はつかない。接種証明があれば9人以上での飲食が可能になるということだが、これも国レベルで統一したスマホアプリもないし、本当に徹底させようとすれば混乱が生じる。これもウイルスというよりは、線引きが何もないとみんなが困るという別の問題から来ている部分が強いと思うので、みんなで目安として大事にすればいい。“規制”みたいな情報の伝え方はやめたほうがいいし、守らなかった人を批判したり、お店に責任を負わせるのも辞めたほうが良い」と警鐘を鳴らした。

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 他方、韓国では11月に入り感染が拡大しており、1日あたりの新規感染者が4000人を超えて過去最多を更新。イギリス、ドイツ、オランダ、ロシアなど、ヨーロッパ諸国では連日2〜3万人を超える新規感染者が確認されている。日本にも“第6波”がやってくるのだろうか。

 堀氏は「一時的には増えるかもしれないし、不安に思っている人に対して批判的なことを言わない方がいい。逆に言えば、“もう大丈夫ではないか”と言っている人を、あえて批判するのも辞めたほうがいいと思う。お互い、ある程度の寛容さを持てるようにしないと、この先も続いていく感染対策が難しくなってくる。今はむしろ、より正確な数字を見るようにして、やめられそうなことは整理することだ。大人が根拠のないことを続けていると、子どもたちが影響を受けてしまうことになる。これまでも若い人たちの活動を制限してきたわけで、本当に大事なことだけ残して、ポーズでやっているようなことはやめようと主張するのが大人の責任だと思う」と指摘。

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 その上で「その点、メディアがどうしてもネガティブな方向に騒ぐ感じの伝え方をしてしまっている。例えば「舞台稽古で感染」「サークル活動で感染」などと報じられていても、実際は練習の帰りに一緒に何回もご飯を食べに行っていてとか、マスクを外して近い距離で会話していて、というのがほとんどだったし、そんなにたくさんの人に広げてしまったわけではない、というケースの方がほとんどだった。これは保健所など行政の責任でもあるかもしれないが、実際はクラスターにはならなかったという事例もいっぱいあるので、そういうことも伝えた方がみんなの役に立つ。しかし、メディアの人というのは良い情報はあまり取り上げてくれないし、“問題は起きていない”というレポートが出ても報じてくれない」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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