“有名無実化”した国民審査に橋下氏「公聴会とセットで、“政治が選ぶ”任命の仕組みにしていくべき」
橋下徹×木村草太 最高裁に「ナメた判決文」

 10月31日、衆院選と共に行われた最高裁判所裁判官の国民審査。開票結果では、対象となった11人の裁判官のうち、選択的夫婦別姓を認めないとする民法の規定を「合憲」と判断した4人の罷免を求めた割合が、他の7人と比べて高い傾向にあったことがわかっている。とはいえ、国民審査によって罷免された裁判官はこれまで存在せず、制度そのものが形骸化しているのではないかとの指摘も根強い。

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 この問題について、27日の『NewsBAR橋下』に出演した橋下徹氏は「
 僕の子どもも4人がもう選挙権を持っているので、国民審査の説明をした。最高裁判所の裁判官は、任命後、最初の衆院選の時に国民審査を受けることになっているが、統計でも出ているのは、一覧で名前が一番目に出てきた人のペケの率が一番高い。だから“うわっ、俺が最初だ”とか思うらしい(笑)。『選挙公報』と一緒に『審査広報』が送られてくるけれど、どちらかというと趣味とかが載っちゃっている。そういうことよりも、“この問題については、こういう考えを持っている”ということが分かることが大事で、今回、夫婦別姓は話題になったから、それについてどういう判断をしたかということはきちんと載っていて、僕もそれで審査をした。本当はもっと主要な問題についてこういう判決、こういう考え方をしているということをメディアも含め伝えてほしい」と指摘した上で、次のように訴える。

 「例えば沖縄の米軍基地問題については、県民が納得するような判決は出てこない。そういう状況の時にメディアは意に沿わない判決を出した最高裁に対して“おかしい。何を考えているんだ”と批判するのはいいけれど、実は裁判所の考え方、方向性、言ってみれば“体質”みたいなものは政治が決められるわけだ。内閣が最高裁の裁判官を任命できるから。もちろん一審、地裁レベルの当事者の紛争問題などの裁判に介入してはいけないが、最高裁まで上がってくる問題というのは、政治的な価値判断みたいなものも入ってくる。夫婦別姓についても、自分の価値観も含めて違憲だという判断をした裁判官もいるだろうし、だからこそ政治が国民の意を汲んで、最高裁の裁判官の任命を通して夫婦別姓を認めていくような最高裁にしていこう、基地問題についてはこういう判決を出すような最高裁にしていこうという、何かしらの政治の意思が入らないといけないと思う。

 本来は内閣が任命することにはなっているけれど、現実は“日弁連から2人推薦”みたいに選び方が決まってしまっていて、内閣は上がってきたリストにハンコを押すだけだったのを、安倍さんと菅さんは“俺たちが決めるんだから”と選び方を変えたことで揉めた。それを“政治介入だ”と言って、一部のメディアが大騒ぎした。内閣と最高裁判所の関係はあまり意識されてこなかったけれど、憲法上の仕組みがある以上、政治家は”最高裁をこういう方向に持っていくべきだ”ということも選挙のマニフェストに書くべきだと僕は思う。

 ただし、“俺たちが決める”という時には、本当は公聴会を開かないといけないが、それがない。アメリカの連邦最高裁の裁判官は人工妊娠中絶や銃規制など、社会を二分するような判断を下していくことになる。だから公聴会をガンガンやって、上院議員が候補者をガンガン追及するし、大統領選挙の時には誰を任命するのかが大きなテーマになる。しかし日本の場合、誰が任命されるのか、全く関心がないし、メディアでも話題に上らないから、いつの間にか選ばれている。ここは内閣の任命行為を実質化するためにも公聴会を開くことで、“政治が選ぶ”ということを正面から認めないといけない。それが本来の憲法の姿じゃないか、ということを前提にしないと」。

 最初から弁護士志望だったという橋下氏。自身の司法修習生時代を振り返り「司法試験に受かった人は埼玉県の和光市にある『司法研修所』に行って、その中で裁判官になるのか検察官になるのか、それとも弁護士になるのかに分かれていく。僕らの時は600人ぐらい同期の司法修習生がいたと思うけれど、一言で言えば、裁判官になるのは優秀なヤツ。教官も裁判所に入れそうな人物かどうかを見ているので、例えば、僕が“裁判官になりたいです”と手を上げても、“何を考えているの?もうちょっと冷静になりや”と言われるわけ(笑)。だってどう考えたって僕にはムリじゃないですか(笑)。申し込んでも、“任官拒否”をされていたと思う。ただ、研修所のこういう振り分けの仕組みについても、新しいプロセスが必要になってきているんじゃないか」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)

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