“同伴可”のレストランなのに“入店拒否”も…視覚障害者の女性「私のパートナー、盲導犬の姿を知って」
スタジオでの盲導犬の様子
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 障害を抱える人たちの生活を支える「補助犬」。2002年に可決・成立した身体障害者補助犬法によれば、やむを得ない場合を除き、公共施設や交通機関、ホテルや病院などでその同伴を拒んではならないことになっている。

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 ところが今年9月、京都市の私立病院が視覚障害者の男性が盲導犬同伴で通院することを拒否。市の担当部署に対しても「補助犬法の趣旨は分かるが、別の患者の中に犬にアレルギーのある人や犬嫌いの人がいるかもしれない。少しでもリスクがある限り、現実的には受け入れられない」と説明をしたという。

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 このニュースについて、視覚障害者の八方順子さんは「私たちも具合が悪くなれば病院に行く。体調を崩して入院したことがあったが、病院の方々の協力もあり、アイメイト(犬)と一緒に入ることができた。だから今でもこういうところがあるのかと、ショックだった」と振り返る。

 とはいえ、やはり個人経営のレストランなどでは入店を断られることもあるという。

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 「私自身、学校にお話をしに行って理解を深めてもらう機会が増えてきたが、今では総合学習の時間に盲導犬の話も含め、障害者の勉強している。ただ、20年くらい前に初めてのアイメイトをもらった当時は、小さなお店ではほとんどが“けんもほろろ”だった。やはりペットだと思われてしまうのか、ハーネスが見えないからなのか分からないが、ドア越しに“え、犬じゃん”みたいな反応をされてしまう。“補助犬同伴可”のステッカーを貼っていて、マニュアルもあるはずのお店で断られたこともある。

 そういう場合は、“毎日ブラシをし、洋服も着させて綺麗にしている。それに訓練されているので、伏せてじっとしていることができる、ぜひ入れてほしい”と説明する。“アレルギーがある”とか、“お客様に犬嫌いの方がいるので”と言われることもあるが、“一瞬ではないですか、私たちもケアをしながら一緒に歩いているので、ぜひその姿を見てほしい”と。それでもダメであれば、本部に電話をかけて相談してみる。そうすると、すぐに“すみません”ということになって、入れてくれる」。

 そんな八方さんにとって、今のアイメイトは4頭目。「アイメイトというのは、“愛する目の仲間”という意味があるが、本当に友達だし、大切なパートナーだ。だから別れは悲しいし、1頭目の時には号泣した」と話す。

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 「初めての場所でも、地元の方に話を聞いて、“何本目の道を左に曲がって…”と言われれば、頭の中で地図を描いて、“ここは大体10メートルくらいかな…”などと計算をしながら歩いている。そしてこの子たちは十字路や段差があると止まるようになっているので、右だったら“ライト”と英単語で指示をする。日本語ではない理由は、“座れ”“座って”“お座り”など、性別や年齢で言い方が違って紛らわしいからだ。

 私が家にいる間はハーネスを着けず、ハウスでステイしているようを指示をしているので、ちょっと“よしよし”と触れ合う以外は、ほとんどそこでのんびり寝ている。やはりメリハリをつけないと、仕事の時にダラダラしてしまうので、家の中ではリラックスしてもらう。そして出かけようと私が支度を始めると、“出かけるのかな”という雰囲気になる」。

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 テレビ朝日平石直之アナウンサーは「街中などで名前を呼ばれると混乱してしまうので、今も“ワンちゃん”と言って話をしているが、本当にじっと大人しくしている。八方さんの靴にピタッとくっついているので、八方さんもワンちゃんと一緒にいる感覚を感じていらっしゃると思う。この様子を見てもらえば、レストランでの食事も何の問題もなくできるということが理解できると思うし、状況が変わると思う」と感心する。

 八方さんは「理解してもらうためにも、私たちがきちんとアイメイトを使うことが大切だと思っている。やはり汚くしていたり、変にウロウロしたり、はしゃいじゃったりしているのを見ると、嫌だなと思う人もいると思う。だから“全然イメージと違う”と思ってほしい。今回の話を聞いた方が他の方にお話をしていただければ、また広がるんじゃないか。

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 また、頭数自体が不足しているという問題もある。アイメイト協会の場合、耳が聞こえない方に対しては貸与してもらえないということだし、18〜60歳までという年齢制限もある」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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