政府は3日、10月の衆議院選挙で落選した自民党元幹事長の石原伸晃氏を内閣官房参与に起用すると発表した。
松野博一官房長官は記者会見で「石原伸晃元議員は国土交通大臣、観光立国担当大臣を務められ、観光立国等の分野で総理に対して有益な情報提供やアドバイスを行う内閣官房参与として適任であると総理が判断された」とコメント。石原氏に観光政策を担当させることで、新型コロナで打撃を受けた観光業の再生を目指すとしている。
石原氏は東京8区で野党の吉田晴美氏に敗れ、落選。比例でも復活できず議員を失職し、自身が率いる石原派の会長も辞任している。
「日本維新の会」政調会長で参議院議員の音喜多駿氏は、この人事をどのように見ているのだろうか。同日ニュース番組『ABEMA Prime』に出演した音喜多氏は「当然納得できない有権者もいるだろう」と指摘。その上で、内閣官房参与の肩書きについて「けっこう、力がある。落選中の普通の一民間人よりも、当然こういった肩書きや名刺を持っているほうが会える人数も増えるし、次の選挙に有利になるだろう」と語った。
「もちろん本当に必要な人は、何らかのポストを与えて、総理が手元に置きたいという思いはあるだろう。何をしているのか、どういう効果があったのか、外部からある程度検証可能な形にしていただく必要があると思うが、この内閣官房参与というのは国会でも質疑の対象にならない。私たちが『石原さんを呼んでください』『観光立国のためにあなたは何をしているのか』と国会で質問したいと思っても、各党が参考人招致という形で合意すれば呼べるが、通常の答弁者には入っていないので基本的には呼べない。何をしているのか、外部から極めて見えづらいのが問題だ。民主主義の制御が効かない外にいる。やはり、こういう方を岸田総理の一任で任命できて税金からお金が払われるというのは、私は少しおかしなシステムだと思う」
2019年3月、統一地方選挙で東京・北区長選挙に立候補するも次点で落選した経験を持つ音喜多氏。落選時の心境について「本当につらい」と明かす。
「地域で一番有名な“無職”になるわけだから、本当につらい。(選挙期間中は)『音喜多! 音喜多!』と言ってくれても、選挙に落ちたら、それはもう有名な“無職の音喜多さん”だ。そういうときに『内閣官房参与』なんて肩書きが来たら、それはもう天の恵みになる。『これで明日から名刺を持てる』と。ものすごい救いの手だと思う。ただ、これが落選者に1カ月で与えられてしまうのは、選挙に落ちた他のメンバーから見ても『なんであいつだけ』とみんな思うだろう。総理大臣の私設秘書で雇うとか、岸田衆議院議員の事務所で雇うといった方法のほうが、まだ理解してもらいやすいのでは」 (『ABEMA Prime』より)
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