今月1日、アメリカで妊娠15週以降の人工妊娠中絶を禁じる米南部ミシシッピ州法をめぐって、連邦最高裁が審理を開いた。
【映像】「人工中絶は“原則禁止”」問題になっているミシシッピ州法
2018年、ミシシッピ州では人工妊娠中絶を制限する州法が成立。妊娠15週以降の中絶を禁止した。この州法に対して「憲法違反に当たるのではないか」という批判が噴出。10月にはアメリカ連邦最高裁の前でデモも行われ、全米の注目が集まっている。
アメリカではバイデン政権になった現在も、判事の構成はトランプ政権時のまま変わっていない。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演したフランス人のカトリック信者で人工妊娠中絶反対派であるポール・ド・ラクビビエ氏は「政治以前の話だ。(中絶禁止は)命を守る文化を作っていくか、死を推進する文化を作っていくか」と訴え。「弱い命は守るべきもの。何もやっていないのに、目に見えていないから(生まれていないから)殺してもいいと言うのは良くない。カトリック教会でも、一番弱い生命を守らなくてはいけないという教義になっている」と述べた。
ポール氏の意見に、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「強姦なり、レイプなりで、妊娠してしまった人の子供も生むべきだと考えているのか」と質問。「子どもが声を上げられなくて、かわいそうなのは分かるが、レイプをされた母親がその子どもを育て上げなくてはならない責任は、被害者である母親もかわいそうではないか」と指摘した。
ひろゆき氏の質問にポール氏は「性的な犯罪、レイプなどは憎むべき行為」とした上で「問題は、お腹の中にいる子どものせいではないということ。お母さんのためにもなるよう、(ケアを)しなくてはならないけれども、同時に一番弱い、声を上げられない赤ちゃんも大切にすべきだ」と回答。「(レイプされた)お母さんももちろんかわいそうだが、フランスの場合、1975年まで中絶は全面的に禁止されていた。だからと言って母を大切にしていなかったわけではない。レイプされて赤ちゃんが生まれて、ある意味でそれはかわいそうだが、殺すよりも生み捨てたほうがいい。昔はシスターたちがいて、いろいろなやり方(育て方)があった。子育てを手伝う団体・組織などがあった」と答えた。
番組の中で「殺してしまったら、とにかく幸せになれない。不幸になるか、幸せになるか、殺したら、やはりどうしてもできなくなるので、不幸になるリスクを冒してでも、やはり生んだ方がいいと思う。不幸が約束されるわけでもない。できちゃった婚のように、最初は子どもを望んでいなくても、子どもができて、責任をとって、育てていくような(やり方もある)」と述べたポール氏。
このポール氏の説明にひろゆき氏は「できちゃった婚とレイプを一緒にするのは違う」と意見。「レイプされて妊娠した女性が『子どもを生みたくない。でも生まなければいけない』という状況は、不幸が確定している」との見方を示した。
その上で、ひろゆき氏は「ポールさんのキリスト教徒としての考えは分かった。ただ、ポールさんがキリスト教徒だからそのように思っているだけで、アメリカにはキリスト教徒でない人が大勢いる」とコメント。「ポールさんの信念でポールさんがそのまま生きるのは全然構わない。でも『俺の考え通りに他人も動け』と言っているのは、僕は違うと思う。『自分の考えに他人も従うべき』というのが、少し独善的ではないか」と語った。(『ABEMA Prime』より)
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