12月5日、愛知県・名古屋国際会議場イベントホールで、プロレスリング・ノアが2021年最後のビッグマッチ『THE WARROAD 2021 in NAGOYA』を開催。年明け元日に開催される“イッテンイチ”日本武道館大会に向け、いくつもの動きがあった。
まず、第6試合のGHCジュニアヘビー級選手権試合。11・13横浜大会で亜烈破を下しGHCジュニア6度目の防衛をはたしたHAYATAに対し、金剛ジュニアのタダスケが“亜烈破の敵討ち”として挑戦に名乗りを上げたこの一戦。
序盤はジュニアの絶対王者になりつつあるHAYATAが、タダスケの左ヒザへの一点集中攻撃で試合を完全に支配するが、まだノアでシングル王座を獲得したことがないタダスケが粘りを見せ、15分すぎに後頭部と走り込んでのラリアットを連続でヒットさせ形成逆転。
ここからさらにラリアットの乱れ打ちで王者を追い詰めるが、最後はHAYATAがヒザへの低空ドロップキックから、片ヒザをマットに着いたタダスケにヘデックを決めて、カウント3を奪取。見事、GHCジュニア王座7度目の防衛に成功した。
群雄割拠のノアジュニアにおいて完全に頭ひとつ抜けた存在となったHAYATAに対し、試合後、同門STINGERのリーダー格である小川良成がリングインし祝福と見せかけて、チャンピオンベルトをつかみ事実上の挑戦をアピール。さらにバックステージで小川はHAYATAを急襲。この裏切り行為にHAYATAが「次は小川や!」と宣言したことで、1・1日本武道館でHAYATA vs 小川良成のGHCジュニア王座戦が決定した。
続いてセミファイナルでは、武藤敬司、丸藤正道、田中将斗、望月成晃のM’s allianceが、ユニットの“ディーバ”である松井珠理奈さんと共に登場。キング・タニー、モハメドヨネ、齋藤彰俊、井上雅央のファンキーエクスプレスと8人タッグで対戦した。
試合は、このところ好調で武藤&丸藤の持つGHCタッグ王座挑戦を狙うキング・タニーが奮闘したが、最後は田中&望月の連携技、スライディングDKをモロに喰らい轟沈。田中&望月が、武道館の晴れ舞台での王座戦というタニーの夢を砕いた。
そして試合後、田中がマイクを握ると、武藤に対し「武道館で俺と望月さんの挑戦を受けてくれませんか?」と、GHCタッグ王座への挑戦をアピール。
すると武藤は困惑しながら「珠理奈、同じ仲間に挑戦されたけど、どうしたらいい? 珠理奈、おまえが決めていいよ」と、“珠理奈裁き”に委ねる。すると松井珠理奈さんは「名古屋のみなさん、M’s allianceの闘い、見たいですかー?」とファンの反応を確かめた上で、「私も見たいと思いました。さらにこのM’s allianceの盛り上がりも見たいと思いますし、仲間でありライバルである、それがプロレスラーだと思います。だから、ぜひ闘ってください!」と対戦を後押し。こうして1・1日本武道館で武藤&丸藤vs田中&望月のM’s alliance同門によるGHCタッグ戦が決定した。
そしてメインイベントは、今年3月から右肩手術のため長期欠場していた潮崎豪の約9カ月ぶりの復帰戦。
11・28代々木大会での中嶋勝彦vs拳王のGHCヘビー&GHCナショナル王座ダブルタイトルマッチが60分フルタイムドローで終わったあと、突如リングに現れて、かつてのパートナーである中嶋に挑戦を表明。1・1武道館でのGHCヘビー級王座挑戦を決めた潮崎。
この日の復帰戦で清宮海斗と組んで、いきなり中嶋&拳王のGHCヘビー級&GHCナショナル王者コンビと激突した。先発は潮崎と中嶋。序盤はお互いの状態を探り合うような緊張感溢れるレスリング中心の攻防を展開したが、中盤に入ると潮崎は中嶋の強烈な蹴りで負傷箇所だった右腕、右肩を狙われ劣勢に。
それでも中嶋のバーティカルスパイク狙いをゴーフラッシャーで切り返して窮地を脱すると、代わった清宮が奮闘。拳王に打点の高いジャンピングニーパットを決め、ジャーマン、タイガースープレックスと畳み掛けると、潮崎も剛腕ラリアットで中嶋を射抜き、最後は清宮が、WARスペシャルのように首も同時に極めるストレッチプラム式フェイスロックで拳王からタップアウト勝利。潮崎はタッグながら復帰戦を白星で飾った。
試合後、清宮はマイクを握ると「拳王!元日、日本武道館でGHCナショナルのベルトに俺が挑戦する!」と、堂々と挑戦表明。これを受けて拳王はベルトを掲げて清宮を睨みつけ、その後、1・1日本武道館での拳王vs清宮のGHCナショナル選手権が正式に決定した。
一方、タッグ戦で勝利したものの、内容では中嶋に押されていた潮崎は、バックステージに戻ると「NOAHってすごいな、プロレスってすごい。(欠場していたのは)9カ月だけど、こんなに厳しくつらいことをやってたんだね。でも、こんなに心の底からくる熱さ、復帰できてよかったよ」と、あらためてノア最前線の闘いに戻ってきた感想を吐露した。
その上で「でも、俺が元日に武道館で中嶋勝彦のGHCヘビー級のベルトを奪う。その気持ちは絶対に折れない。俺が必ず取ってやるよ」と、1・1日本武道館でのベルト奪取を宣言した。
ついに帰ってきた「I am NOAH」。中嶋との前哨戦は、この年末、まだまだ続く。どこまで本調子に戻して決戦の日を迎えるのか、元日までますます目が離せない。