一発一発、目が離せない重量級の戦いで生まれた危険すぎる“顔面”ハイキックKO。一歩間違えば…という危険な一撃に放送席からは「アゴに当たらなくてよかった」「危ない位置からのハイキックだった」と安堵の声が聞かれた。また、KOシーンのインパクトに加えて注目を集めたのは、解説陣が指摘した敗者の「悪いクセ」だった。
12月4日にエディオン・アリーナ大阪で開催された「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN」。クルーザー級の谷川聖哉(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と工藤勇樹(エスジム)の対戦は、2ラウンド2分11秒、谷川が鮮やかな右ハイ一撃で工藤をなぎ倒してKO勝利を収めた。
空手からK-1アマチュアで優勝し才能を開花させた谷川は、7月の第2代Krushクルーザー級王座決定トーナメントで準優勝と好調。本来は元王者K-Jeeとの対戦で2021年を締めくくるつもりが相手の負傷欠場で、他団体の重量級王者であるベテラン工藤が対戦相手に名乗りを上げた。
ゴングとともにローを蹴り合う両者。ロー、ミドルと小気味よく空手仕込みの多彩な蹴りを繰り出す谷川に対し、工藤は飛び込みざまのストレート、バックスピンキックなどバリエーションを見せる。
重い階級だけに一撃で空気は一変する。1ラウンド中盤、静かな蹴りの攻防から、谷川が放った空手の突きを彷彿とさせる押し込むような右のパンチが工藤の顔面を捉えると、工藤はよろめくようにダウン。すると、この日のABEMAでゲスト解説を務めた佐藤嘉洋が「工藤選手は攻撃が終わったあとに体が横を向くクセがあり、スキが生まれる」と弱点を見抜いた。2ラウンドにも佐藤は「工藤選手は軸がブレはじめて前のめりになりがち」と新たなクセを挙げた。
劣勢の工藤もトリッキーな攻撃で反撃を試みるが、淡々とプレッシャーをかける谷川がロープ際まで追い込み、左を当てる。その鋭く重い攻撃から逃れようと、やや前のめりの姿勢で横を向いた工藤を狙いすましたように、谷川が顔面を蹴り上げるような右ハイを一閃。
谷川が振り上げた足が真正面から工藤の顔面を直撃すると“バシッ”という鈍い音とともに工藤がダウン。レフェリーがすぐに試合をストップした。
リプレイのKOシーンは、まさに佐藤の指摘どおり。パンチを貰い終始前のめりの工藤が回避するために横向きに流れた刹那、その顔面を目掛けて谷川のハイキックが直撃。改めて佐藤は「横を向いちゃうのはものすごく危ない。ハイキックが正面から来た。アゴに当たらなくて良かった」と場合によっては致命傷にもなり得るシーンに安堵の声を上げた。