RISEの軸の一つである女子戦線が大きく動いた。12月12日の後楽園ホール大会、今年最後の女子マッチとして組まれたのはerikaとAKARIの一戦だ。

 女子高生ファイターとしても知られるAKARIは、今年3月に無敗のままトーナメントを制覇しミニフライ級王者の寺山日葵に挑戦。しかし僅差で敗れてしまう。9月の再起戦に勝利し、ここでさらにステップアップしたいところだった。目標はもちろん、寺山とのリマッチだ。

 そこに立ちはだかったのがNJKFミネルヴァ王者のerika。昨年、平岡琴をパワフルなラッシュで圧倒すると階級、団体の枠を超えてチャンピオンが参戦したRISE女子トーナメントにも参戦。1回戦で寺山に敗れたものの大善戦し、その後は全勝と勢いに乗っている。AKARIとの試合でもサウスポーから繰り出す左のストレートが冴えた。対するAKARIは得意の蹴り。特にローが効果的だった。

 ただ、攻撃をもらってもerikaの動きが落ちない。本戦はドロー。そして延長ラウンドに入るとはっきり差がついた。先に攻撃するのは常にerikaだ。手数で上回ったerikaを、ジャッジ3者とも支持した。

 沖縄で練習に励み、介護福祉士として働くシングルマザー。夜勤をこなしながらのトレーニングと減量を乗り越えての勝利でもあった。3人の子供からは、試合直後に祝福のビデオ電話があったそうだ。仕事の疲れは「無視する」そうだ。「そしたらだいたい大丈夫です(笑)」

 インタビュースペース、AKARIの印象を「うまかったです」とerikaは語った。そしてこう付け加える。

「うまいのを無視して崩していきました」

 やはり無視。攻撃力を活かしての勝利は“らしい”ものだった。本人も「自分のスタイルが活かせた」と言う。その一方で、落ち着いて距離をコントロールしてもいた。AKARIが得意とする前蹴りを出させなかったのは練習通り。「ただ前に出るだけじゃない」試合ができていた。

「前に出てくるというのは相手も分かってることなので。いつもと違う自分が見せられたらと思ってたんですけど、結果いつもと変わらなかったですかね」

 そうコメントしたのだが、客観的に見て成長があったと言っていい試合だった。次の狙いはタイトルマッチ。RISEの伊藤隆代表も「挑戦確定でいいと思います」とゴーサインを出した。

 チャンピオンの寺山が負傷箇所の手術をするため、対戦のタイミングは復帰を待ってということになる。それまでに、erikaはさらにレベルアップするだろう。王者も挑戦者も成長した上での再戦。AKARI以上と言える寺山のうまさをも「無視」できるのか。魅力的なチャレンジャーが名乗りをあげた。

文/橋本宗洋