「これから半年、1年と議論をしていけば問題点が明らかになってくるかもしれないし、賛成も広がってくるかもしれない」武蔵野市条例の採決めぐり自民党・長島昭久議員
長島議員に聞く
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 東京・武蔵野市の市議会で21日、市内に住む外国人が住民投票に参加することを認める条例案について審議が行われ、否決された。

【映像】賛成・反対派が拮抗...自民党議員が反対するワケ

「これから半年、1年と議論をしていけば問題点が明らかになってくるかもしれないし、賛成も広がってくるかもしれない」武蔵野市条例の採決めぐり自民党・長島昭久議員
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 今回の条例案は松下玲子市長の“肝いり”政策で、「市内に3カ月以上住む満18歳以上」であれば外国人も日本人と区別せずに住民投票ができるとする内容。その賛否をめぐって、議論は市民だけでなくネット上でも紛糾。議会でも意見が割れ、13日の総務委員会では賛成と反対が同数となり、最後は委員長判断で可決され、きょうの本会議で採決されることとなっていた。

「これから半年、1年と議論をしていけば問題点が明らかになってくるかもしれないし、賛成も広がってくるかもしれない」武蔵野市条例の採決めぐり自民党・長島昭久議員
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 20日の『ABEMA Prime』に出演した、武蔵野市が地盤の自民党衆院議員・長島昭久氏は、今回の条例案が“分断の種”になっていると指摘してきた。外国人が“実態として”政治に影響を与える懸念、広い意味で“外国人参政権”を認める懸念があるのだという。

 「“住民投票の結果には法的拘束力がないんだから良いじゃないか”という意見があるが、解説書を読むと、“実質的な拘束力があります”と書いてある。税金を使ってやる住民投票だから、当然のことながら“結果については知りませんよ”という話にはならない。そして、そこに参加する権利も、市政に参加する一端を担うという点で参政権に準じるものとして考えるべきではないか。

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 また、ここでいう住民投票とは、“市長と市議会がにっちもさっちもいかなくなった問題について住民の意見を直接聞いてみましょう”という“個別型”のものではなく、有権者の4分の1の署名が集まれば必ずやらなければいけない。“市の権限を超えるものについてはやらない”というが、解説書によれば“市及び市全体に影響を及ぼす事項で、市民に直接賛成または反対の意思を確認する必要のある事項は全部やる”と書いてある。しかもご丁寧に“市の権限を超える場合でも、市民の皆さんが重要だと思ったらやる”と。つまり、国政の問題にも入り込む可能性があるということだ。

 それを日本人と全く同じ条件でやるというのは、さすがにやりすぎじゃないかということで議論になっているわけで、私としても疑問が残る。ご存知の通り、国政の参政権は憲法第15条1項で“国民固有の権利”とされているが、住民投票といえども、そこにぶつかる可能性がある。仮に日本人プラス外国人を認めるにしても、ある程度絞った形でやりなさいというのがこれまでの最高裁の判例であり、高裁の判例だ。全国1740自治体のうち、外国人が入ることを認めている自治体は43あるが、そのうち41は在留資格3年を超える人、あるいは特別永住者、永住者などの要件をつけている。それくらいじっくり構えた条例案にすれば、まだ市民の皆さんの理解を得られたのではないか」。

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 長島氏は自身のブログで、その“条件”についても提示していた。

 「私もアメリカに7年住んでいたが、3カ月というのは短いと思う。しかも技能実習生とか留学生も含めてというが、みんな仕事が忙しいし勉強も忙しく、それどころじゃないだろう。そこにいきなり多様性を認める街づくりをやります、住民投票の権利を与えたので参加してくださいと言われても、そういう雰囲気にはならないのではないか。

 また、権利を行使するなら、それなりの責任が伴うと私は思う。永住者であれば、日本に住み続けていく意思があると思うし、例えば在留資格(3年)を更新する際には住み続けるという意思表示をする。私自身は永住者だと考えているが、そこから先はリスクも含めて考えて、住民、議会でちょうどいい基準、要件を決めていけばいい。それをないがしろにして、言葉は悪いが“独りよがり”というか。権利を渡せば多様性を認め合う街が作れるというような“善意の押し売り”みたいなところがあると思う」。

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 今後について長島氏は「諸外国と同様に、一定の在留期間を設ければいいのでは、あるいは永住者であればいいのでは、といったことも議論の俎上に載る前だった。市民も議会もほぼイーブン。やはり多くの方が、“一度立ち止まって考えよう”、“なんで急いで採決する必要があるの”と感じていると思う。これから半年、1年とじっくり議論をしていけば、問題点が明らかになってくるかもしれないし、賛成も広がってくるかもしれない」と話す。

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 「条例案を作る過程で、市長さんは“市民参加”とおっしゃっていたが、逆に市民参加を避けているところがあると感じていた。例えばパブリックコメントを募ったというが、人口14万8000人なのに22人分しか集まっていないとか、意見交換会に3人しか集まらなかったとか。コロナ禍の真っただ中で不要不急の外出を控えてくださいという時でもあったので、もっと大勢で、堂々と市民の意見を聞きながらやってもらえれば、反対論もかなり沈静化するのではないかとは思っている。

 市長の意見は、パッと読むと誰も反対できない、美しいロジックだ。そういうイメージでポーンと出してきたので、こんなに街を二分するような騒ぎになるとは予測してなかったんじゃないか。今になって、事の重大性に気付き始めておられるんじゃないかと推測する。これまで武蔵野市政は国際交流を一生懸命やって、外国の方、海外の意見も取り入れながら運営してきたという定評がある。その点からも、どうしてもこの条例が必要だという背景がちょっと見出しにくい。意外と反対は薄いんじゃないかと思ったら、反対派がジワジワ増えてきたという状況でもあり、もう一度、別の形でやり直してほしい」(『ABEMA Prime』より)

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