クリスマスが終われば、さらに状況が厳しく…迫る生乳大量廃棄の危機に、牧場経営者が訴え
生乳廃棄 防ぐ方策はないの?
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 「生乳の大量廃棄を防ぐため、特に需要が減少する年末年始に牛乳をいつもより1杯多く飲んでいただく。料理に乳製品を活用いただくなど、国民の皆さんのご協力をお願いしたい」。21日の会見で、そう呼びかけた岸田総理。

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 生乳が余ってしまい、このままでは年内に約5000トンを捨てざるを得ない状況だというが、一体なぜなのだろうか。北海道釧路市で「浅野牧場」を経営、JA阿寒青年部長も務めるほか、酪農YouTuberとしても活動している浅野達彦氏は次のように説明する。

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 「数年前にバターが足りなくなったことがあったが、あれは利用が増えて生乳が落ち込んだため、国からの補助などを使いながら、牛、牛乳を増やそうとしてきた。ようやく成果が出たところに、このコロナ禍で飲食店や給食の需要が落ちてしまった。牛は暑さに弱く、寒さに強いので生産が増える一方、冬になると牛乳を飲む量が減ること、さらに学校が冬休みに入るので、さらに消費量が減ってしまっている。週末のクリスマスシーズンが終われば、生クリーム需要も一気に減ってしまうので、この年末年始がピンチということだ。
 
 生産者としても調整しようと頑張ってはいるが、牛から毎日牛乳は出てしまう。減らしたいから絞らないということはできない。日持ちのするバターや脱脂粉乳の工場もフル稼働状態で、キャパを超えてしまえば、やはり生乳を廃棄せざるを得ない。ただ、命から作っているものなので、生産者としてできれば避けたい。子牛に飲ませる粉ミルクを輸入のものから国産に切り替る動きもあるが、コスト差が生じてしまう。そこを酪農家が拠出して、なんとか使ってもらっている状況だ」。

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 総理大臣が特定の業界を救うため国民に呼びかけたことには違和感を覚えるとの声もある。

 浅野さんは「総理大臣が言ってくれたのは、本当に驚きだ。バターが足りなくなったことで、国が政策として増産しようとしたことも背景としてはあるのではないかと思う。ただ、年明け以降も厳しい状況は続くのではないかとの見通し。北海道を中心に生産調整を行い、少なくとも今年以上に生産量を増やしてはいけないということで取り組んでいるところだ。ただ、規模拡大によって頭数が増えた農家さんもいる。数億円の借金をして投資をし、これから牛乳を絞ろうというときにそれは厳しい。そういう状況があるということだ」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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