埼玉県民の鳥「シラコバト」が激減、なぜ? 繁殖は順調も根本的な解決難しく
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 国の天然記念物に指定されている「シラコバト」の生息数が激減している。県民の鳥に指定している埼玉県が、実態の調査に乗り出した。

【映像】「シラコバト」実地調査では1羽を確認

 埼玉県のキャラクター「コバトン」のモチーフにもなっている、シラコバト。県の東部を中心に生息するハトの一種で、白っぽい体の色や首の後ろの模様が特徴だ。

 県によると、日本には江戸時代、将軍の「タカ狩り」の獲物として海外から持ち込まれたと考えられている。約20年前には1万羽ほど生息していたと言われているが、昨年度、野生で確認されたのは県内でわずか29羽だった。

 県によると、数を減らしている背景には、開発によるすみかの消滅やエサを採る場所として重要な家畜の飼育小屋の減少など、複数の要因があるとみられている。

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 一方で、飼育下での繁殖は順調なようだ。越谷市にある「キャンベルタウン野鳥の森」では約10年前、県からシラコバトを譲り受け、飼育を始めた。寿命は長いもので10年以上に及んでいる。

 こうした飼育下で繁殖させて、自然に戻すことは可能なのか。調査員の小峯昇さんは「減っている原因がはっきりしない中で放しても意味がないという意見もあるし。逆に私個人としては、今いるところに発信機などをつけて仲間に入れてあげて、どういうところで生活しているか調べるには最後のチャンスかなと思っている」と話している。

 埼玉県は「根本的な解決が難しく、具体的な対応策は定まっていない」としている。その上で、「減少の原因が解決されないと、人口繁殖したシラコバトを放しても同じ結果」との見解を示し、今後も調査を踏まえた分析や情報の発信に取り組む方針だ。


 ここからは、このシラコバト調査を取材したテレビ朝日社会部の浦壁周平記者に聞く。

Q.そもそもなぜシラコバトを取材?
 去年の夏から埼玉県担当記者として赴任している中で、県のポスターのほか、「シラコバト公園」「シラコバト幼稚園」といったように、身近な生活にシラコバトがいることに気が付いた。また、映画『翔んで埼玉』といった作品で扱われていたことでも存在が気になった。県への取材や動物園に見に行く中で数が激減していることを知り、伝えられないかと思った。

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Q.埼玉県の「県民の鳥」を変更しなければならない可能性も?
 そこに対しては県も危機感を持っているようで、県のシンボルとして絶やしてはならないという強い思いは皆さんある。

Q.今シラコバトが生息しているのはどの地域?
 野生で残っているのは、埼玉県の東部で茨城県との県境付近だとみられている。野生の個体数は少ないが、動物園では飼育されているところもある。基本的には埼玉県の5つ施設で254羽と、東京だと上野動物園など限られたところになる。いずれの施設でも繁殖が行われている。

Q.繁殖は順調だというが、簡単?
 小屋での飼育下で、人間が手をかけている分には順当に数が増えているということだ。話を聞くと、野生だと雛から大人になる過程で外敵に食べられたり、環境的に成鳥になるのは難しいそうだ。

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Q.元々は外来種ということだが。
 世界に目を向けると、もともとインドや中国のあたりにいたようだが、世界各地で人間が持ちこんだりしたため、今ではヨーロッパやアメリカまで広がっている。しかし、なぜか日本だけ数が増えてこなかったという背景がある。鳥についての学術学会である日本鳥学会では、こうした理由からシラコバトを外来種としている。

 ただ、埼玉県は「江戸時代以前から生息していたことは確か」「昔から保護されて県民に親しまれてきた」などの理由で、保護することが望ましいとしている。しかし、400年近く前から生息しているものを外来種かどうか判別すること自体が困難という指摘もある。

Q.減少している理由がはっきりしない中で、今後の対策は?
 明確な原因がわかっていないので、打つ手が難しいというのが関係者の本音のようだ。例えば、動物園で飼っている個体を野外に放しというのも1つの手ということで、シラコバト以外に数を減らしている動物でこうした取り組みが成功した例もあるようだ。しかし、シラコバトに限っては、根本的な要因、環境が変わらない限り「外に放しても同じ結果になるだろう」という見立てになっている。打開策が見つかっていないのが現状だ。

ABEMA NEWSより)

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