末松文部科学大臣は27日、オミクロン株の濃厚接触者の大学受験について、「別室での受験を認めない」とする当初の方針を撤回した。
文科省は24日、オミクロン株の濃厚接触者の受験を認めず、追試験で対応する方針を発表した。しかし、受験生の間に不安が広がっているとして、岸田総理はできる限り受験機会を確保するよう指示。
末松文科大臣は27日の会見で、オミクロン株の濃厚接触者となった受験生について、PCR検査の結果が陰性で、受験当日も無症状であるなどの要件を満たせば、別室での受験を認めると発表した。
文部科学省の当初の判断について、ノンフィクションライターの石戸諭氏は「大人としてやっていることが本当に情けない」と苦言を呈する。
「大学受験は10代にとって人生の一大イベント。しかも濃厚接触者になるかどうかは本人になんら責任がない。こういうことで人生を左右するような決断は軽々にしてはいけない。濃厚接触者は追試という措置がフェアなのかということも疑問が残る。これまでの他の病気との兼ね合いはどうなのか。文科省のやり方ははっきり言ってやりすぎだと思っている。大人としてやるべきことは、今回のように本人が関係ない運・不運で左右される状況になった時に『どうやったら試験を受けることができるのか』と知恵を絞ること。感染症対策のために本人に受験機会を与えないことはおかしい」
また、この件が「今年を象徴するようなニュースだ」との見方を示す。
「新型コロナ、あるいは『感染症対策』と言えば自由に制限をかけてもいい、『念には念を』といった言葉が過剰に増幅されている。それさえ言えばあらゆることが許されるような価値観が蔓延し過ぎているのではないかと思う」
一方、岸田総理が方針転換を指示したことについては、「政府の中で最初に調整すべきだったが、方針転換を速やかに行うのはまだいいと思う」と評価。では、社会生活と感染対策のバランスはどのように考えるべきなのか。
「2020年からずっと繰り返されていることだが、この社会は憲法にもとづき基本的な自由がある。それに制限をかけるのは何のためか。最大の理由は医療インフラや医療体制を守るためだったはずだ。だから緊急事態宣言を出して、私権も制限してきた。だとするならば、医療体制は今どうなのかというところで判断するべきだと思う。
もう1つ思うのは、ワクチン接種について。今は3回目の議論が進んでいるが、1、2回目も忘れてはいけない。3回目は医療従事者やハイリスク層に接種することを進めると同時に、ワクチンを打ちたくても打てなかった、あるいはうっすらとでも打ちたいと思っている人、うっかり機会を逃してしまった人たちに対しては、1、2回目のワクチン接種ができる窓口を閉じるのではなく、アクセスを広げていくこと。呼びかけを続けていくことも大事だと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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