「パチンコ屋を営業停止にしないっていうのが今の日本の政府の微妙なところだよね」
「パチンコ屋自体をまず潰した方がいい」
「そもそもパチンコ屋って違法ですよね」
(ひろゆき,hiroyuki 公式YouTubeチャンネルより)
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏が目の敵にするパチンコ・スロット。なぜ、ひろゆき氏は「パチンコをなくすべき」と語気を強めるのか。大きな理由の一つが「パチンコは違法な賭博じゃないのか」という主張だ。
【映像】「パチンコは潰すべき」ひろゆき氏のYouTube動画に反響
日本では競馬やオートレースなどは公営ギャンブルとして認められているが、金銭などを賭ける賭博は原則法律で禁止されている。パチンコ・スロットはこの公営ギャンブルには含まれておらず、勝っても直接パチンコ店から現金を受け取ることはできない。
パチンコに行った人が話す「勝った」「儲かった」という話は “三店方式”という特殊なシステムの上に成り立っている。パチンコで勝った客は金貨が入ったプレートのような特殊景品をパチンコ店から受け取り、それを店の外に必ずあるパチンコ店とは関係ない交換所に持って行く。すると、そこで現金と交換してもらえる。そして、交換所はそのプレートを景品問屋に売り、景品問屋はそのプレートをパチンコ店に売るというものだ。
「三店方式を他の業種がやったら完全に違法だ」と述べるひろゆき氏。では、実際にどこまでひろゆき氏の主張は正しいのか。
賭博罪に詳しいコールグリーン法律事務所の弁護士・津田岳宏氏は「(パチンコは)違法とは言えないというのが私の考え方だ」と見解を述べる。
麻雀プロでもある津田氏は「まず、パチンコは『風俗営業法』という法律で景品を提供することが認められている」と説明。その上で「パチンコの景品を買い取る、これも第三者である小物商が買い取ることも認められている。ということは、やっぱりそこを違法だとするのは難しく、法律的には“合法”となる。裁判でも“100%合法”が結論だ」と話す。
三店方式をやめて海外のカジノのように換金まで行う、一気通貫型の仕組みに変えられないのだろうか。これに、津田氏は「そういうことをしてもいいだろう。だが、そこには人的資本も経済的資本がかかる。『そういうことをする必要性もない』と業界も考えている」と回答。
これにひろゆき氏は「それは必要性がないのではなく、単純に天下り団体みたいなところにお金が回っているから変えたくないだけだ」と指摘。「本来であれば競艇や競馬などの公営ギャンブルは払った額の15%〜20%が国に税金として入る。だから『じゃあ、みんなギャンブルをやってください。農水省に税金として入ったら農業政策に使われますよ』となるが、パチンコはそうじゃない。国民としては『公営ギャンブルにしてください。儲かった分はちゃんと国の税金にしてくださいよ』という方がいい」と主張した。
紆余曲折の中で今に至るパチンコ業界。パチンコ業界の問題に真摯に取り組んでいる「日本維新の会」政調会長の音喜多駿参議院議員は「この議論は『換金して流して戻すことがおかしいんじゃないか』から始まっている。実は本当のおかしさは『そもそもなんでパチンコが景品を出していいのか』にあると私は思っている」と話す。
その上で音喜多氏は「ゲームセンターは明らかに高額になりそうな景品を出せない。ところが、パチンコなどごくごく一部の業界だけ風営法の第4号に指定されて、そういった景品が特定の条件で出せるようになっている」と風営法の内容に言及。「景品が出たらそれを換金したくなるから『それ買い取るよ』みたいなことが成立する。そもそも景品を出さないようにすればいいんじゃないかという議論から私は始めるべきだと思う。ひろゆきさんが指摘するような既得権があるんじゃないかといった部分は、もっとクリアにして、税金をかけるべきなんじゃないかという議論は当然やっていいと私は思う」と自身の考えを示した。
また、ジャーナリストの堀潤氏は「僕は借金を作るほどパチンコにハマっていた経験がある。ゲーセンとは違う雰囲気があって、パチンコには魔力がある」と実体験を告白。「そういう体験があるので一切(三店方式などを)なくせばいいと思う。本当につらかったから。やめられて良かったなと今は思う。だから、新しくバージョンアップして安心して楽しめるパチンコでいいじゃんと思ったりする」と話した。
堀氏のエピソードに、ひろゆき氏は「その魔力はパチンコじゃない。賭け事で金がかかっているギャンブルの魔力だ」と指摘。「パチンコは民間でやっている。僕が初めてやったのは高校生の時だ。けど、金が儲かるから高校生だろうと本当に借金してくる人だろうと、とりあえずパチンコ店は受け入れてしまう。でも公営ギャンブルだと未成年だと明らかに分かったらもう入れない。民間がやっている限りやっぱり違法で、本来はパチンコをやってはいけない人でも儲けのために入れちゃうことがあり得る」と意見した。
津田氏は「特に未成年に対する規制は厳罰化した方がいいと思う」とした上で「その他の部分は、パチンコ店や麻雀店、自衛隊、ソープランドは全部ちょっと曖昧な部分が残されている。そういうことが日本の法律の運用、解釈において伝統的にされてきた。民主主義なので、法律は国民の合わせ鏡みたいなところがある。日本人の国民性を考えて、玉虫色のところを残しておく法律の在り方も現状では合っているのではないか」とコメント。
津田氏の見解にひろゆき氏は「僕はそれはあんまり良くないと思っている。玉虫色にすることで既得権益が生まれる」と対立。「風営法の第4号は普通に書類を出しても通らない。自由で平等な競争がなくて『この人と仲がいいと審査が通るよね』となるわけだ。コネがないとそもそも通らない。それは平等ではないし、良くないと思う」と述べる。
一方で「業界団体関係者とかなり意見交換をしてきた」という音喜多氏は「政治の世界でやっていると、特例、例外がある所に権力、癒着が生まれる。パシッと基準が決まっていれば癒着や権力が生まれようがない。ファジーなところがあるから『俺とお前の仲じゃないか』みたいなことが生まれる」と、政治家の観点から指摘する。
「パチンコが世間のニーズとうまくグレーゾーンを作ってやってきたこともあるが、我々政治家が判断すべきところは、グレーが許される時代もあると。でも『もう無理だよね』というところが確実にくる。パチンコについては、そろそろグレーなままごまかすのは難しいと思っている。ギャンブル依存症の問題は、かつては『意思が弱いからだ』と言われてきた。しかし、研究が進んで、そうとも言えないというか『ちゃんと解決しないとまずいんじゃないの?』と分かってきた。白黒つけるというか、一歩進んで健全化するのか、規制してギャンブルにするのか。そろそろ国民的合意を取らないといけない時期に来ているように感じる」
また、『ABEMA Prime』ではパチンコホールの全国組織『全日本遊技事業協同組合連合会』を取材。「パチンコは違法なのではないか」という質問に以下の回答を寄せた。
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〈回答〉ご質問については、平成30年3月内閣委員会における警察庁の答弁「客が、パチンコ店の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、パチンコ店の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知しておりますが、パチンコ店の営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは、直ちに風営適正化法違反となるものではないと認識をしております。」とされております。
また、パチンコ店の営業については、平成30年2月20日付け参議院質問主意書における「ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。」とされております。
なお、音喜多議員個人のご意見については、承っておきます。
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自己申告・家族申告プログラム(1日に使用する金額や遊技時間等の上限を決め、超えたら店舗スタッフが知らせる)を導入するなど、依存症対策や社会貢献にも力を入れているパチンコ業界。
その一方で、いまださまざまな意見があがる中、時代の変化とともに法的な位置づけも変わる日が来るかもしれない。(『ABEMA Prime』より)
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