人よりも見えすぎることで、“オオカミ少年”になってしまう…高IQ者が職場で抱える悩み
高IQゆえに抱える苦悩 »

 新宿・ゴールデン街に集まった、知能指数(IQ)130以上の人たち。発起人の立花奈央子さんは「社会の枠や形に自分を合わせるために、一生懸命やらないといけない人もいる。生きづらさを抱えている人たちが集まれる憩いの場であったらいいなと思って」と話す。
 

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 “天才だから人生楽勝”などのステレオタイプで見られがちな高IQ者。確かに「話の先が読めることが多くて」(フジイさん)、「0歳の頃からジグソーパズルが好きで、ずっと“頭いいね”“天才だね”って言われて全国模試1位みたいな人生ではあった」(ジェニーさん)といったエピソードも飛び出すが、「社会的な生活をきちんと営なめない率が高い。私もそのタイプ、小さい頃からあまり学校に行ってなかった」(タケダさん)と、高い知能ゆえに、学校などで周囲と分かり合えず孤立してしまった経験を明かす人もいる。

人よりも見えすぎることで、“オオカミ少年”になってしまう…高IQ者が職場で抱える悩み

 吉沢拓さん(IQ138)も、子ども時代には周囲の違和感を覚えながら育ったという。

 「頭の中でイメージを広げるとか、ピンとくるというのがあって、工作の時間でも“お前だけ何、変なもの作っているんだ”とか“吉沢くんだけ面白いやり方するね”とか言われていた。そういうところで、周りと見え方やでき上がるものが違っているなというズレを感じていた。ただ、自分にとっては普通なのに、なんで変に思われているんだろうというのが、当時はまだ理解できなかった」という。

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 それが“生きづらさ”に変化したのは、社会に出てからだった。エンジニア職として就職、当初は期待をかけられていたというが、次第に周囲とのズレを感じるようになる。

 「大人になると、絵を描く前に、それっていい絵なの?ということを示さないとやらせてもらえないみたいなことがあると思う。僕の場合、皆が9×9の将棋盤で考えている時に、30×30の将棋盤で話を広げてしまい、“一番大事なのここなんじゃない?”って一手を打つので、“何を言い出すんだこいつ”と。“地獄の始まり”という感じで、どこへ行っても認めてもらえないというか…」。

 上司や同僚よりも物事を広く考え、数手先まで考えて仕事をしようとする吉沢さん。“仕事ができない”と決めつけられてしまったり、無駄な仕事を省いたり、指摘しなくてもいい間違いを追及してしまうことで、軋轢を生むことも。

 「例えるなら、僕が“遠くに山火事見えるぞ”と言っても、みんなには見えていなければ“オオカミ少年”になってしまう。そうやって周りと考えがズレているのがわかると“考える力がない”、“俺たちの気持ちが分からない”と言われてしまうので、なんとか隠さないといけないというのが辛かった」。

人よりも見えすぎることで、“オオカミ少年”になってしまう…高IQ者が職場で抱える悩み

 頭髪が抜けるほどのストレスを抱え休職せざるをえなくなった吉沢さん。1年前に検査を受け、高IQであることが判明。現在は理解あるベンチャー企業の人事として活躍している。

 「“すみません。こういう特徴があって、過去には迷惑をかけてしまうこともあった。ほったらかしにしてくれれば多分持ち帰ってくるので”というのを伝えたら、“そのエンジンみたいなものをフルスロットルにして走れるようにするためには、我々は何をしたらいいか”ということを言ってもらえたので、開き直って働くことができるようになった。今は本当にありがたい関係で、当事者としてお手伝いをする側に回れている。いわゆる天才、神童と呼ばれる人たちの中には、その力を発揮させようとされることが苦労する原因になる場合もある。無理やり引き出されてしまうと、かえって大変な目に遭うこともあるのではないか」。

人よりも見えすぎることで、“オオカミ少年”になってしまう…高IQ者が職場で抱える悩み

 社会福祉法人で若者のカウンセリングを行っている竹中辰也さんは、「人よりも細かい部分が見えたり、より複雑な部分を感じることができたりする力が非常に高い方がいるので、やはり人の見ている世界観とはズレてしまうことはよくある。評価軸が一つに絞られていたりすることが多く、自分の望む評価軸で評価を受けられず、苦労される方は多い」と話す。

 竹中さん自身も、IQ132の高IQ者だ。

 「IQが高いことに気がついたのが30歳になった頃のことで、それまでは発達に課題があるのではないのかと思い、そこを明らかにするための検査を受けたが、逆に高い数値が出た。それによって、違和感を感じていた部分が明らかになった。私自身も、他の人が羨ましくて仕方がなかった。上手くやれていて、キラキラしていてすごく幸せそうに見えた。職場での不適合ということで、今まで2回ほど引きこもっているし、“もう二度と働くか”と思って生きてきたところもあった。それでも親切に関わってくれた方々がいたおかげで、社会とのつながりを諦めずにいられた気がしている」。

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 高IQ者ゆえに抱える苦しみ。吉沢さんは、同じ境遇を持つ子どもたちへメッセージを送った。

 「難しいと思うが、“自分は周りとは違ってもいいんだ”そう思って動き出せることがすごく大事。自分の特性を好きと思えるように、まずちゃんと自分の特性を受け止めることができるようになると、その先いい選択につながるのではないか」。(『ABEMA Prime』より)

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