すでにチケット完売、大きな話題を呼んでいるのが1月8日の新日本プロレス、横浜アリーナ大会だ。この大会では、新日本とプロレスリング・ノアの対抗戦がマッチメイク。その刺激がファンの心を捉えた。
対戦カードの中には、鈴木みのる&タイチ&TAKAみちのくvs杉浦貴&桜庭和志&KENTAというものも。現在は新日本だがノア出身のKENTAが杉浦軍に加わり、鈴木軍と対戦する形だ。鈴木、杉浦、桜庭と格闘技色の強いメンバーが多く、また鈴木軍はかつてノアマットに乗り込んで荒らし回っていた時期もある。さまざまな要素を含んだ好カードと言っていいだろう。しかし鈴木自身は、対抗戦についてこう語っている。
「それは新日本とノアの問題であって、オレには関係ない。オレは新日本所属ではないんで。“新日本代表として”とか“新日本の看板を”とか一切ないんで。関係ないよ、オレには」
過去のことも関係ない。大事なのはあくまで今だからだ。ノアに参戦していた時代について聞かれると、鈴木はバッサリ。
「(ノア参戦時のことは)忘れた。何年前の話をしてんだよ。昔のことをさ。そんなもん映像にいっぱい残ってんだからさ、お前らが勝手に見て勝手に判断すればいいじゃん。知らないよ、昔のことなんて。昔のことをほじくり返して、ああでもないこうでもない、そんなことどうでもいいんだよ。勝手に想像すればいい。想像するのが楽しいんでしょ」
では今のノアの印象はどうか。鈴木は突き放してみせる。
「印象も何もパラパラっと紙で見る程度なんで、よく分かんない。映像を見たことはある、ABEMAで。思ったのは“こいつらまだ生きてんだ”と」
ノアは鈴木にとって、あくまで過去でしかないということか。
「アイツらがどういう数年間を過ごしてきたか分からない。でも俺もタイチもTAKAみちのくもそれなりに生きて、生き抜いてきてるんだからさ」
対戦カードに関しては「そんな感じだろうと思った」。しかしあらためて、自身と鈴木軍の立ち位置を強調している。これは「新日本vsノア」ではないのだと。
「何回も言うけど、鈴木軍新日本じゃないから。もし鈴木軍が(今も)ノアで闘ってたらノア側に入るのか?」
杉浦たちはもちろん「敵」だ。しかし、だからといって自分たちが「新日本サイド」であるわけがない。鈴木軍はいつも新日本に噛み付いて、立ち向かっているのだ。それどころか、新日本とノアの選手たちの対抗意識すらもこき下ろす。
「この対抗戦が決まってからの新日本側の選手の発言ってのは目にした。“俺たちのほうが上だぞ”っていう強い気持ちが見え隠れしてる。ノア側もちょっとおどおどしながらも“俺たち負けてねえぞ”ってやり合ってる。カブトムシのケンカみてえだよ(笑)。そんな気がするけどな」
ノアとも新日本とも闘ってきた鈴木から見れば、この対抗戦も“虫同士”の争いなのだ。
「オレは凄い偉そうな立場で、新日本とかノアに対して上からしゃべるだろ。仕方ないよ、アイツらのほうが下なんだから」
どのリングであっても、誰が相手であっても、鈴木みのるは鈴木みのるなのだ。
「強い、弱いを決めるためにプロレスやるんだから。リングですべて答えが出るんじゃないの」