「“公共のメディア”なんて無理だと思わないか」「大手メディアなら1年目に教育されることなのに」ひろゆき・たかまつななが語る『Choose Life Project』問題
たかまつななvsひろゆき
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 テレビの報道番組制作の経験を持つ有志らによって発足した『Choose Life Project』(CLP)に対する立憲民主党からの資金提供問題。

 支援した側の立憲民主党の福山哲郎前幹事長は、「フェイクニュースに対抗するメディアの理念に共感したため、広告代理店と制作会社を通じて番組制作を支援した。番組内容などについて関与したものではない」と説明しているが、出演者だったジャーナリストや新聞記者ら5人が連名で公表した抗議文には、「特定政党から番組制作に関する資金提供を受けていたことは、報道倫理に反するものです」と指摘。Twitter上にも、「メディアの中立性を脅かす行為だ」といった否定的な意見は少なくない。

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 7日の『ABEMA Prime』では、抗議文を受けて自身のYouTubeチャンネルで見解を表明、謝罪した時事YouTuberでお笑いジャーナリストのたかまつななを交えて議論した。

【映像】たかまつななvsひろゆき

■ひろゆき氏「“公共のメディア”なんて無理だと思わないか」

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 ひろゆき氏は「ナイーブに考えている人が多いんだなと思った。中立で、清廉潔白なメディアがあると思い込んでる人たちが現実を理解できていないんじゃないか」と話す。

 「選挙シーズンになれば政党がテレビ局にはCMを打つわけで、中立なメディアなんて存在しないんじゃないか。CMを出してくれているスポンサーがいれば、別の番組でも人は配慮しちゃう。それが当然だと思うし、逆に、それが全くないと思っているのか。

 すでに自民党がDappi(Twitterアカウント)でいろいろやっていた、みたいな指摘もあるわけで、政党はやってて当たり前だよね、という事実を受け止めるべきだ。そして、制作会社も含め、メディアがどういうお金の流れで動いているのか、普通は見えないのが当たり前じゃないか。それなのに、CLPだけ見えるようにすべきだという理由がよく分からない。それでは与党に勝てるわけがない。野党の手足を余計に縛ってどうするの、という気がする。

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 そして、市民がお金を出していれば中立だというのも間違っていると思う。人がお金を払う、お金をもらうという時には何らかの動機が必ずある。それなのに、全てを分かるようにする、公正にする、というのは不可能だと思う。『チャンネル桜』も、ある程度“右”の市民がお金を出しているのだろうし、“僕たちは右だ”と言っているだけまだマシだ。それを前提にしないと、“俺こそが公共なメディア、中立なメディアやります”という人が出てきて、また同じようにお金を集め、同じように偏ったコンテンツを出すことになる。最初から無理なんだとみんなが認識していた方が、社会にとって良くないか」。

 さらに「理想の状態がこうだよね、こうしたいよね、というのは分かるが…」として、次のように問題提起した。

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 「上手く喋れない人を呼ぶこともできるので、出演者の人数を一緒にしたからといって中立になるとは言えない。そもそも調べたら分かることだけど、自民党から講演の謝礼をもらっているような人が中立の顔をしてメディアで喋ったりすることもある。でも、そこにはみんな文句を言わないじゃないか。

 僕だって、自民党を支持しているといわれるJC(日本青年会議所)の仕事を受けたことある。本当はゴリゴリの自民党支持者かもしれないし、逆にゴリゴリの共産支持者かもしれない。でも、今この場でそれを明かしていなければ、みんなは知らないまま僕の話を聴いて、影響されちゃうだろう。今日の出演者のみなさんだって、講演の仕事を受けたことがあると思うが、それが政党、もしくは政党を支持している団体の後援を受けていなかったと断言できるのか」。

■たかまつなな「中立であることと、中立を目指すということは別だ」

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 一方、自身のnoteに「声がかからなくなったのもある。番組の色が当初私がイメージしていたよりも、左に傾いていったのが気になるところだった」と綴ったたかまつは、次のような見方を示した。

 「安倍元総理が辞任を表明した日、『7年8ヶ月 安倍政権とはなんだったのか』という検証企画をやるので出演してくれないかと連絡が来た。出てみると、私以外の全員が“反安倍”を謳っていたメンバーで、私が“良いところも悪いところもあった”と話し、評価すべき点について言及すると、コメント欄の視聴者を含め、“そんな事実はないんだ”という空気感が出ていた。

 あるいは『コロナ禍の五輪開催を考えるVol.5 なぜ私たちは反対の声をあげるのか #いまからでも五輪中止を』という企画についても開催に賛成の人の意見も取り上げる、といいような番組ではなかったと思う。視聴者層に合わせてそうなってしまったというところもあると思うが、“公共メディア”を謳い、市民からのお金で中立性を担保しているはずなのに、実際はそういう形ではなく残念だと思ったので、私も徐々に出なくなっていった。

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 お金の問題については、関係者で知っていたのは3人だけだったということで、“内紛”のような形で噴出してしまったのだと捉えている。それ自体も問題だと思うが、出演したことがあり、自分でも取材をさせてもらった私としては、お金の流れ確認できないまま出演したこと、資金について質問しなかったことを非常に申し訳なく思っている。

 私は自分が中立だとは思っていないし、実際に中立であることと、中立を目指すということは別だ。お金の流れも報道内容も中立を目指すべきで、そうしなければ、民主主義を成熟させるための言論空間づくりを放棄していることになってしまう」。

 その上でたかまつは、「“市民メディア”が醸成されない現状についても目を向けないといけない」と訴える。

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 「例えばテレビ局や新聞社では編集部門と広告部門が一応は分けられているし、“これは広告だ”ということは分かるようになっていて、編集部門が忖度せず伝えられるよう努力はしているはずだ。NHKが“公共メディア”を謳っているのも、特定のスポンサーや税金に頼らず、視聴者からお金を取っているからだ。確かに政治に忖度しているように見える瞬間もあるし、実際に忖度している瞬間もある。それでもできる限り中立でいようとしている。

 ただ、そもそも市民メディアにとっては、お金を集めるということ自体、ものすごく大変だ。私自身もメディアを作っているので、気持ちはよく分かるし、厳しい現状があるということは認識しなきゃいけない。1000万、1500万のレベルであれば日本政策金融公庫などから借りれば良かったと思うが、それが難しいというなら、自民党からもお金を引っ張ってくる努力をしなければダメだったと思うし、“PR表記”をし、態度表明もしていればよかったと思う。

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 つまり、お金には色があるので、その色を付きにくくする努力というのが欠けていた。その意味では、やはり立憲民主党からお金をもらっていたことを隠していたのが最大の問題で、作り手のジャーナリストとしての報道倫理がおかしかったんだというのは、CLPの声明文を見ても感じたことだ。そもそも”取材先からはお金をもらわない”というのは大手メディアでは1年目に教育されること。ジャーナリストとして、今まで何やっていたのか。むしろテレビ局や新聞社の人たちの信頼が揺らいでいるのではないのか。そう考えると、立憲民主党やCLPだけが問題だとは思わない」。

■安部敏樹氏「これが日本のレガシーメディアのレベルなのではないか」

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 クラウドファンディングで1000万円以上のネットメディア運営資金を調達した経験を持つリディラバ代表の安部敏樹氏は「クラウドファンディングで大切なのは、支援してくれた人たちに対して嘘をつかず、自分たちのポジションを明確にするということ。それがCLPの人たちは“公共のメディア”という言葉の定義をしないままに使っていたのではないか」と指摘する。

 「“公共”という言葉を定義するのは難しいが、“メディア”という観点で言えば、課金者の数が数千万人に達しているNHK以外、“公共メディア”だと言い切るのは難しいと思う。まして1000人程度しか課金していない、数千万円規模で運営されているメディアであれば、むしろ“公共のメディア”を自負すること自体が不適切ではないか。

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 また、メディアの運営というのは“武士は食わねど高楊枝”のように、長い時間をかけて黒字化していく事業であるべきだし、メディア以外の収入源があるところからスタートした方がいい。そしてポリシーをチーム内で共有し、それをもとにブランドを作り、そして読者との信頼関係の代わりにお金をもらう。その意味では、信頼関係を失ってしまえば、お金をもらうのはほぼ不可能だ。CLPがこれから信頼を得るには相当な努力をしないと厳しいと思う。

 だいたい、メディアを継続的に運営していこうと考えたら、1000万、2000万という額では足らないわけだ。それぐらいの金額で大きなリスクを払おうとすること自体、経営者としてセンスがない。そもそもCLPは、TBSというレガシーメディアから出てきた人たちが集まって作っている。それなのに、“マスメディアであれば抵触するであろう各種法令は適応外であろうという認識でいました”というようなことを言っている。そういうことについて誰も問題提起をせず、こういうことになるまで放置してしまった。ジャーナリストとしてどうなのかなと思ったし、これが日本のレガシーメディアのレベルなのではないか」。

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 さらに、ひろゆき氏やたかまつ氏の意見を受けた形で、「例えばアメリカのメディアにはそれぞれポジションがあって石を投げ合っているし、見ている側も“そういうものだ”と思っているので、総じて見れば中立に近い言論空間ができている。そのことをもって、日本でもそういう言論空間の作り方があるじゃないか、という主張も可能だが、残念ながらネットの時代には難しい。いわゆるエコーチェンバーみたいなものが出てきてしまい、一方のポジションしか見えない、見ない状況になっているので、全体として中立だという言論空間が作れなくなっている。そこにどうメスを入れるかも、今回の問題の一つの大きな論点だと思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
 

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