「本試験・追試験どちらもが受験できなかった場合に、個別入試で合否判定すること。それでも受験機会が得られなかった受験生のために総合型選抜等によって、再度の追試の機会を設けることなどについて、全大学に速やかに要請をする」(末松文部科学大臣)
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かつての共通一次試験、センター試験にあたる「大学入試共通テスト」が今週末に迫る中、文部科学省は新型コロナウイルスの影響で試験を受けられなかった受験生のために、入試で共通テストを利用する予定の大学に対し、個別入試の結果だけで合否判定するよう要請を行った。さらに個別入試でも追試験などを受けられなかった場合には再追試の機会を与え、入学時期が4月以降になることも可能にする方針だ。
これについて「大学入試共通テスト」をスキップして個別入試を受けられる状況が受験生の間に不公平を生じるのではないか、との指摘が上がっているが、教育ジャーナリストの石渡嶺司氏は「かなり急に決まった話ではあるが、手厚い方策だと感じた」と指摘する。一体どういうことなのだろうか。
石渡氏は「確かに大学共通テストの5教科7科目の中に苦手科目のある受験生は多いだろうし、二次試験で得意科目だけで受験できてしまうということについて不公平感があることは否めない。ただし、逆に大学共通テストで得意科目が受けられず、トータルで不利になるという受験生が出てくることも否定できない。また、大学入試共通に向けて勉強してきたことが無駄になるかというと、そうではないと思う。去年まで続いたセンター試験と違い、かなり読解力も求められる内容に変化しているので、国公立大学の2次試験、あるいは私立大学の入試でも十分に生かされるのではないか」と説明する。
「とはいえ、入試問題を新たにもう一つ作るのはかなり難しい。一般入試であれ、あるいは2次試験の小論文であれ、半年以上前にはある程度の形にしていて、それくらい内容を精査して作られるものだ。今から救済策のために新たな問題を作るというのは、さすがに無理だと思う。2次試験の追試験の内容は、おそらく簡単な小論文、実質的には面接を行い、その中に口頭試問を入れるといった形になるのではないか。結果的に本試験と追試験で異なる内容になることも、それは仕方がないと言えば仕方がない。不公平感があることは否定できない」。
また、わざと大学入試共通テストをスキップしようとする受験生も出てくるのではないか、といった見方についても、「追試の受験を申請には、PCR検査の結果など、提出しなければならない書類も多い。“濃厚接触者だ。だから追試も受験できない”と嘘をつくのは難しいと思う」と指摘。
その上で、「今回の特例措置の対象者がどれくらいになるかを考えてみると、それほど多くはないのではないか。去年も本試験を受けられなかった場合に追試験をやろうということになったが、感染ないしは濃厚接触者以外も含め、対象者は約1500人、特例のそのまた特例で追試だけを利用したのは、わずか1人だった。そもそもインフルエンザに罹った場合にも追試験はあったが、国公立大学の2次試験や私立大学の入試には基本的に追試はなく、そのまま受験できないで終わっていた受験生もおり、隠して受験していた人も相当多かったとみられている。これからオミクロン株の感染がどれくらい広がるかどうかという問題もあるだろうが、やはりギリギリのところで成り立っているのが今回の救済策だと思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)
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