兄貴分と弟分の頂上決戦は、1ラウンド、電光石火の連打によって弟分の勝利。圧倒的な力の差の前に、ランキング1位の兄貴分がレフェリーに助けを求めるようによろめきながら近づき、抱きかかえられるという衝撃的な結末に視聴者からも「ちょっと格が違う」「泣ける」など、驚きの言葉が。さらに互いをリスペクトする両者が試合後に見せた振る舞いには「勝者も敗者も素晴らしい」など称賛の声が聞かれた。
1月14日に開催されたONE Championship「ONE: HEAVY HITTERS」。セーマペッチ・フェアテックス(タイ)とタワンチャイ・PK・センチャイムエタイジム(タイ)の対戦は、1ラウンド2分55秒、タワンチャイが2度のダウンを奪ってKO勝ち。拳を交えることで突きつけられた“兄超え”の厳しい現実にファンからは「泣ける」「悲しい」といった声があがり、ABEMAでゲスト解説を務めた元SKE48の松井珠理奈も「辛いですけど…いいストーリーがある」と語った。
ムエタイの頂上決戦、しかも兄貴分と弟分という間柄の2人が拳を交えることとなった一戦。22歳のタワンチャイは“若手最強”との呼び声高い有望株。対戦する27歳のセーマペッチはグローバルな活躍をみせて来たONEランキング1位の強豪だ。下馬評ではスピードと技術のタワンチャイ、パワーと経験のセーマペッチで意見は2分。互いに「相手をリスペクトして手加減なし」を公言して試合に臨んだ。
ともにサウスポー、左ローのタワンチャイに対し、右、左ミドルとコンビネーションを見せるセーマペッチというオープニング。両者重さを競うようなロー合戦、さらにセーマペッチが距離を縮めるとタワンチャイの鋭い前蹴りが突き刺さる。
前蹴りに再三後退する場面が目立つセーマペッチだが、至近距離での攻防でも速さに定評のあるタワンチャイのコンビネーションを被弾。飛び込み際にことごとくローやミドル、さらに前蹴りを貰う厳しい展開だ。
1ラウンド後半。タワンチャイが一歩踏み込み強烈な左右のフック。これに思わず後退したセーマペッチをケージ際まで追い詰めたタワンチャイは、一気呵成に左ミドルから電光石火の連打。加えて同じモーションからの左ヒジで最初のダウンを奪う。
セーマペッチも兄貴分の意地がある、すぐに立ち上がるがすでに表情は固い。今度はハイから、パンチの連打、右がテンプル、そしてアゴを捉えるとランキング1位の強豪が土下座ポーズでダウンを喫した。ここは意地で立ち上がったセーマペッチだが、レフェリーに助けを求めるようによろめきながら近寄ると、抱き寄せられるような形でKO負けを宣告された。
あまりにも残酷な力の差を見せつけたタワンチャイの強さに視聴者も騒然。「こんなに強いのか」「何も出来なかった」「ちょっと格が違う」といったコメントが並ぶ。
勝利後、喜びも見せずにすぐにセーマペッチのダメージを心配し駆け寄ったタワンチャイ。一方、兄貴分が負けを認め肩を抱く感動的なシーンに「泣ける」「悲しい現実」「勝者も敗者も素晴らしい」といった声が上がる。勝ち名乗りを受けたあとも、ヒザを付き手を合わせて対戦相手に敬意と感謝を示した勝者は最後まで謙虚で、互いにリスペクトが伝わってくる様子に松井珠理奈は「辛いですけど…いいストーリーがある」と語った。