香港当局は18日、ペットショップの店員と輸入したハムスター11匹が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
地元メディアによると「ウイルスがヒトにうつる恐れもある」として市内のペットショップからハムスターなど約2000匹を回収し、殺処分すると決めたという。
飼っているペットが新型コロナウイルスの感染源に……? そのようなことが起こるのだろうか。人獣共通感染症の専門家で、新型コロナウイルスの動物への感染事例に詳しい東京農工大学の水谷教授に話を聞いた。
「1回はヒトからその動物へ感染します。逆にその動物からヒトに感染するとなると、体温が変わってきますので、そのために変温しなくてはいけないので、ハードルはかなり高いと思います」
水谷教授によると、動物からヒトへの感染はしにくいとのこと。実際、国内において動物が新型コロナウイルスに感染した事例は報告されているが、ペットからヒトへの感染については確認されていない。
2020年にヨーロッパの農場で飼育されていたミンクからヒトへ、突然変異した新型コロナウイルスの逆感染が確認された事例はあるが、なぜヒトへの感染につながったのかハッキリとは分かっていないのが現状だ。
「動物によって感染のしやすさっていうのは変わりますが、一番重要なのは先ほど申しましたように『動物へも感染する』ということを認識していただくということがまず第一で。犬とか猫でも感染します」
ヒトからペットへの感染。加えてまた、懸念されるのが、ペットから野生動物へのさらなる感染拡大だ。水谷教授は、動物の間でコロナの感染拡大が続く限り、人間にもリスクが存在し続けるとしている。
ハムスターは、犬などと比べて新型コロナウイルスに感染しやすい動物であるため、何らかの原因で変異したウイルスがヒトへ感染する可能性もゼロではないという。
ただ、香港当局が決定した殺処分について水谷教授は「動物愛護の観点から言えば当然、殺処分するべきではない」と指摘。続けて「やはりヒトからヒトへの感染がメインですので、完全に今のパンデミックはヒトからヒトです」と明かした。
いまだ終息する気配を見せないコロナ禍の今、家族の一員といえるペットに飼い主はどのように向き合えばよいのだろうか。水谷教授はこう語る。
「やはり人と同じように、(家族)だからこそ人と同じような距離感で必ず接するということです。例えば今日本は、第6の波が来てますが、そういう第6の波が来た時には少し距離を置く。またそれが収まったらしっかり可愛がってあげる。そういうことが大切だと思います」
また、ニュース番組「ABEMAヒルズ」のコメンテーターで医師のニコラス・レニック氏は、ハムスターの殺処分について「科学的な必要性があるとは思えない処置」とコメントし「今(感染が)怖いのは人間で、動物からヒトへの感染する可能性は高くないので、動物を怖がる必要は全くない」と述べた。(『ABEMAヒルズ』より)
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