起用に応える会心の勝利だった。1月23日のRISE後楽園ホール大会。その第1試合を任されたのは、女子アトム級1位の小林愛理奈だ。
大会の第1試合は、単に「最初の試合」という以上の意味がある。流れを作る、勢いをつけるという役目を担っているのだ。まして今大会は、RISEの2022年最初の大会だ。
「女子であろうとRISEの一発目はKOじゃないと」
それを“仕事”だと考えてリングに上がった小林は、祥子JSKを相手に序盤からアグレッシブに攻めていく。左右のボディブローは会場に響くほどの音を立てていた。小林はこのボディで倒すつもりだったそうだ。
だが、祥子も研究済みだったのか、ボディの距離になると組んでヒザを狙う。小林としては1ラウンドは思うような攻撃ができなかった。
そこで、セコンドの原口健飛がアドバイスを与える。ボディではなく、離れた距離からのパンチを指示したのだ。
「健飛くんが右のオーバー(ハンド)に変えろと言って、それがドンピシャでした」
試合後にそう語った小林。2ラウンドにはロー、顔面へのパンチと攻撃の幅を増やし、終盤に右のカウンターでダウンさせる。組みつこうとしたのか、相手が前に出てきたところに抜群のタイミングで決まった。
立ち上がったところに右のオーバーハンド。さらにもう一発。3ノックダウンでの勝利は、KOが多かったこの大会の中でも有数のインパクトを残した。
試合後には、ランキング1位として「私しかいない」とタイトルマッチをアピール。チャンピオンの宮崎小雪には過去に2度敗れているが、ここで挑戦表明したのは自信の表れだろう。原口も、試合前からRISEの伊藤隆代表に「パンチが凄くよくなってます」と語っていたそうだ。この結果と内容に「上半期にタイトルマッチを組みたい」と伊藤代表。
ここ数年、女子戦線がクローズアップされているRISE。小林の成長は今年の目玉になってもおかしくない。試合への反響に、ツイッターで「女破壊神も夢じゃない」と小林。“倒せる女子”の次戦が待たれる。