出会いと別れ… “ペットロス”に悩む漫画家が描いた実体験 「新しい子を迎えることも1つの選択肢に」
漫画の一部
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「前へ、前へ、前へ… この子の命を感じた」
「リーフの代わりなんかじゃない… そう気づかせてくれた。この時全ての不安が消えた」
「ねえウチに来る?」

 愛するペットとの別れと、新たな命との出会い――。Twitterに投稿された一本の漫画が注目を集めている。

【映像】「この子の命を感じた」“ペットロス”を描いた漫画の一部

 物語は、主人公のリョウタが愛犬リーフをなくし、ペットとの別れが原因で起きる“ペットロス”に陥ってしまうという所からスタートする。

 愛犬を失った悲しみに暮れ、仕事が手につかなくなるリョウタ。そんな時、親から新しいペットを迎え入れる事を提案される。リーフに対する“謎の罪悪感”を抱えながらも、訪問先に向かったリョウタだったが、新しい家族を探していた子犬と出会い、触れ合う中で、その子犬を新たな家族として迎え入れることを決心した。そうして、ペットロスから徐々に立ち直っていく姿が描かれている。

「名前はフク!アキサワフクくん!」
「先代リーフから続く“フ”をとり、これからの犬生の幸せを込めて名付けた」
「こうしてフクと家族になった」

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』では作者である漫画家のアキサワリョウタさんを取材。アキサワさんは愛犬を失って以降、新しい子を迎え入れることを考えたことはなく、迎え入れたとしても「リーフの代わりにはならない。またなくした時に辛い思いをする」と思っていたと話す。この漫画は、そんな自身の気持ちを整理するために描いたという。

「リーフを失って3〜4カ月後頃からじわじわと虚無感と喪失感に襲われました。毎朝起きると『リーフがいないこの世界でどうして生きているのだろうか』と思い、寝る前になると『また朝起きたら同じことを思うのか』という不安から不眠にもなりました。『自分にしか描けない漫画を』と考えたときに、漫画を描いてみました」

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 コロナ禍で増えたとも言われるペットの需要。犬情報メディア『INUNAVI』の調査によると、愛犬をなくした約9割の人が「ペットロスになった」と回答していて、アキサワさんが経験したようにペットロスは、ペットと暮らす人なら誰もが起こりうるとも言われている。その症状について、同番組コメンテーターである臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は次のように話す。

「一般的に様々な悲嘆反応を伴うという風に言われています。例えば、精神的に落ち着かない、集中できない。不安になったり、孤独感が強くなったりと体の症状としては、眠れないというのが一番多くて、あとはすぐに涙が出るとか、食欲がわかないとかですね。こういった症状が2カ月以上続く場合、臨床上問題があると判断されています」

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 これまでペットロスに関するカウンセリングを数多く行ってきたという藤井准教授。ペットロスから立ち直るには一定の時間は必要とする一方で、「周囲のサポートが重要になる」と話す。

「大事なものが自分の中からなくなった時に、そこから回復していくプロセスというのは、ある程度の時間は必要なんですよね。ペットに感謝したり、あるいはペットとの時間や思い出がいい経験だったなと、自分の中で受け入れたりしていくということ。そのプロセスの中では、例えば愛犬の写真を使ったクッションを作ったり、メモリアルグッズを作ったりすることで、だんだんと思い出に変えていくといった、その過程を(周囲の人が)支えるということが大事なんですね」

 平均で約14年と言われる犬や猫の寿命――。長い年月を共に過ごしたペットに対する思いや立ち直り方は人ぞれぞれ。新しい命を迎え入れることで前に進み始めたというアキサワさんは、現在ペットロスに悩む人たちに向けて、この漫画が背中を押せるきっかけになってほしいと話す。

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「ペットロスで辛い思いをされている方、とても気持ちがわかります。今回、漫画で描いたように“新しい子を迎え入れる”という選択を、1つの選択肢として頭の片隅に入れておいてください。あなたはペットロスになるほど愛情深いので、あなたのことを待っている動物たちがいるかもしれません。人それぞれペットへの思い入れは違うと思うし、色々な考えがあるかと思います。自分のペースでゆっくり受け入れていけばいいと僕は思っています。そういう方のきっかけや、背中を押せるような漫画になれていたら嬉しく思います。人もペットも、命あるものはいつ、どこで、どう亡くなるかなんて分かりません。大好きな人、大好きなペットとの1日1日を大切に過ごして欲しいと願います」

 また、現在ペットを飼っている人たちに向けて次のようにアドバイスを送った。

「ペットロスに陥る最も大きな理由が“後悔”です。人間のエゴですが『あの時ああしていれば』などといった後悔を残さないことも大切だと思います。できることならば最後まで尽くしてあげてほしいと思います」(『ABEMAヒルズ』より)

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