ひろゆき氏「医者が少ないから長時間労働になる」入試合格率で初の“男女逆転”も…医療現場に残る課題
「長い時間働く独身男性が一番…」初の“合格率逆転”も 壁は残ったまま
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 新型コロナの感染が拡大する中、今年も迎えた受験シーズン。各会場では、去年に続き、感染対策を徹底しながら多くの受験生が試験に臨んでいる。そんな中、注目を集めているのが大学医学部の入学試験の合格率だ。

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 文科省が全国81の大学医学部の2021年度の合格率を集計したところ、男性が13.51%、女性が13.60%と、わずかに女性の合格率が男性を上回った。女性の合格率が男性を上回るのは、医学教育史上初となる。

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 医学部入試といえば、2018年、男性を多く合格させたいがために意図的に女性の点数を減点するなどした大学が複数あり、当時大きな問題になった。この問題を踏まえ、今回の入試結果について、現場の医師はどのように見ているのだろうか。

 ニュース番組『ABEMA Prime』に出演した、フリーの病理医で全国医師連盟理事の榎木英介氏は「(医学部入試で)女性に不利な状態というのは、昔からあったのではないかと思う」と話す。

「私が医学部にいたとき、成績がいい女性がいた。例えば、卒業時の成績トップが女性ということが何年も続いているのに、入試で女性の合格率が低いというのはおかしいなと感じていた。おそらく(不正入試は)以前からあり、発覚したのが最近という形なのではないか」

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 また、大学医学部で不正入試が行われた原因について、榎木氏は長時間労働が当たり前になっている医師の職場環境に言及。「要は病気になる人は夜だろうと朝だろうと関係なく来るので、それに対応しなければいけない。それが常識化していて、そうなると独身男性が一番良くて、その次に妻に家事などすべてを任せて仕事に集中できる男性、といった考え方になってしまう。大学も他の病院に医師を派遣するようなこともやっているので、大学は働いてくれる人をどんどん送りたい。そうやって、男性をとらなければいけないという、ある種、間違った考えが広まってしまったのかなと思う」との見方を示した。

 榎木氏の説明にネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「お医者さんが少ないから長時間労働をしないといけない状況になっている。どんどん合格させちゃって『お医者さん多いです』という状態にしちゃえば、解決するのに、なぜやらないのか」と質問。榎木氏は「一つは、医師会みたいな組織が反対する。なぜならライバルが増えてしまうから。ライバルが増えると、患者さんが減って、収入も減る。既得権みたいなものがあって、なかなか今の医療現場から『医者を増やしてください』という声が出てこない。医者を増やすと『収入が下がってしまう』と考える人もいる」と答えた。

 ひろゆき氏が続けて「実際、世の中にはお医者さんがいないような地域もある。仮に『お医者さんがいっぱい増えちゃいました。うちの地域でやっていけなくなりました』といっても、移動すれば絶対食える仕事だ。多少増やしたとしても社会的に何の問題もないのでは」と質問すると、榎木氏は「私も増やした方がいいとずっと思っている」と回答。榎木氏は「ただ、一つ言われているのは、医師の養成にお金がかかるということ。何千万もかかる話もあって『そう簡単に増やせない』という言い方をする人もいるし、例えばこれからロボットやAIが出たりして『医師の需要が減っちゃうんじゃないか』『今増やすのは良くないんじゃないか』と言う人もいて、なかなか医者を増やそうという意見が広まっていかない」と語った。

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 ライターの中川淳一郎氏は「合格率が13%、逆に言えば大多数が落ちるほどすごい試験なのか」また、「東大理科三類(理三)に行った知り合いは、医者になる気はなく”一番レベル高い試験を受けたい”と言っていた。結果的に外資系コンサルとかに行ってしまう。そういう人たちが医学部を受けるのはどう思うか」と質問。

 榎木氏は「成績優秀者が医学部に集中しすぎている」とした上で「実際に安定している、やりがいがあるといった面もあるが『医学部にこんなに偏差値が高い人が必要なのか?』とも思う。例えば、数学オリンピックの金メダリストが医者になるなど、そういう才能の無駄遣いをしているのではないか」とコメント。「ある種のラベリングだが『私は日本の中で一番勉強ができましたよ』というのを持ちたいみたいな人が医学部入試を受ける。もちろん、その人たちだけではないが、そういう人たちが受けることで優秀な人たちが医学に入ってくる面はあるにせよ、本当はやりたくないのに医者になってしまう人がいる。医学部を出た後に別の道に行ってしまって、それはそれで悪くはないが、何千万かかった費用はどうなるんだという話にもなる」と述べた。

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 2019年度から男女共に医学部の合格率が微増し続けているが、今後受け入れる側である医療業界において、働きやすさなどは改善していくのだろうか。

 榎木氏は「患者さん側の意識も変わってもらわないといけない部分もある」「例えば、夜中でも朝でも、急変したら主治医に診てもらいたいという意識を皆さんが持っている。夜でも駆けつけてくれた主治医に『ありがとうございます』と言って、それができないと『あの人は不真面目だ』みたいに思われてしまうことがある。医師の働き方を変えようにも、患者さんの要求があったりして、なかなか難しい。患者さん側の意識も変えていく必要がある」とコメント。「厚生労働省が出した働き方改革でも、残業をなるべく短くしていこうといった方針が出ている。要は“ホワイト病院”をどんどん増やしていきましょう、と。働きやすい、多様性がある病院が生き残って、長時間労働で女性を排除するような病院がなくなっていく方向に向かえばいいと思う」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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