弟子のまさかの一手に、師匠の声も裏返った。「第1回ABEMA師弟トーナメント」予選Bリーグ1位決定戦、チーム鈴木とチーム中田の対戦が1月29日に放送された。チーム鈴木は鈴木大介九段(47)、梶浦宏孝七段(26)の師弟で、控室では和やかな雰囲気で談笑をしていたが、一方が対局している際は、見守っているもう一方がドキドキしっぱなし。特に弟子の勝利を我が事以上に喜ぶ師匠にとって、予想外の一手が飛び出した時は、その驚きも尋常ではなさそうだ。
鈴木九段の声が思わず裏返ったのは、チームの勝利に王手がかかった第4局。梶浦七段がチーム中田・中田功八段(54)と戦っている時だった。中田八段の中飛車に対し、梶浦七段は後手番から居飛車を選択、対抗形の将棋になった。すると序盤に梶浦七段が指した△7五歩という一手に、控室で見ていた鈴木九段は「ひえー、カジー、大丈夫なのー」と、高めの声がさらに裏返ることに。その後も、弟子の苦しい指し回しに「まいったねー。なんちゅう駒組みだ」と、頭を悩ませていた。さらには終盤、千日手模様になったところ、劣勢だった梶浦七段がなかなか千日手に向かわないことにやきもきし「危ねぇ!危なすぎる。何やってんの、カジー」と、声は届かないながらもモニタに向かって叫び続けていた。
対局は千日手指し直しとなり、その後に梶浦七段が勝利。チーム鈴木もスコア3-1で勝利し本戦に進むことにはなったが、ファンからは鈴木九段が控室で大騒ぎだったことへの反響も大きく「声震えてる」「ひぇぇぇ」「大介もおもろい」といった声が出続けていた。
◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)