「長ネギ農家からお願いです。長ネギ食べてー!長ネギ食べてー!長ネギ食べてー!」。農家歴8年の「しん」さんによる、切実なツイートが話題を呼んでいる。
1月31日の『ABEMA Prime』に生出演したしんさんは「3本=99円がギリギリだ。出荷してもいいが、出す分だけ赤字になってしまうので、農家としては価格がさら下がれば、廃棄しなければならなくなる」と話す。
「中国からの輸入がストップしたということもあり、国内だけの生産で賄うようになったここ2、3年は価格が安定していた。そこでうちでも久しぶりにネギを作り始めたが、同様の農家さんがすごく増えてしまった。また、去年は台風による大きな被害が少なく、豊作になってしまった。しかもガソリン価格に連動して、段ボールの値段も上がっているし、人件費も上がっている。これから肥料も倍になると言われた。しかもコロナ禍で飲食店さんが動かないのは結構大きい。ネギをはじめとして大型野菜は飲食店さんで鍋が出ないと動かない。
規格外はさらに値段が安い。うちだと長ネギが2Lサイズ30本で800円くらいで卸しをしているが、“B品”になると500円になってしまう。消費者の方もそうだし、スーパーも棚に並べる時に並べづらいとか、そういう業務上の理由もあると思うが、もう少し考えてもらえるとうれしい」。
こうした事態で思い起こされるのは、岸田総理が国民に呼びかけたことなどにより何とか廃棄に至らずに済んだ牛乳の問題だ。しかし4月、5月には、再び大量廃棄される可能性もあるという。
食品ロスジャーナリストの井出留美氏は「例えば牛乳1リットルを生み出すために牛の血液400リットルが使われているということはあまり知られていないと思うが、やはりネギも含めて生き物なので、簡単に生産量を増やしたり、減らしたりすることはできないということだ。2014年頃にバター不足が起きて以後、酪農関係者たちは頭数を増やすなどして、不足が起こらないよう対策をしてきた。
その矢先にコロナ禍になり、家庭では消費が増えた時期もあったとは思うが、やはり学校給食がストップしたり、飲食店が休業したりということで、特に年末年始には呼び掛けが行われるほど需要が減ってしまった。業務用のバターに関しては、今も賞味期限が近づいてきた製品の在庫が積み上がっているが、賞味期限ギリギリの商品は売らないのが“業界ルール“なので、販売軽減、そして店頭から撤去されてしまう。なかなか難しい」と話す。
その上で井出氏は、農産物の余剰について次のように話していた。
「アメリカなど、海外では値下がりによって余剰が出た農産物を国が買い上げ、困窮した方々に分配する政策をとっている。いま、都庁の近くで行われている食料配布に毎週500人近くが並んでいるので、日本もきちんと対策をすべきではないか。また、物流コストが高過ぎて運べないからダメになってしまうということもあるので、海外では冷蔵・冷凍設備などのインフラを整備している場合もある。
加えて、そもそも日本は政府の食品ロスの統計値に畑で潰されたり、ダメになってしまう野菜は入っていないし、農産物に関しての規格が厳格で、見栄えが悪いとか、サイズが揃わないということで規格外になってしまうものもある。また、日本には“欠品ペナルティ”といって、品切れを起こしたメーカーは、小売に取引を停止すると言われてしまうので、最終的にメーカーがコストをかけて廃棄している現状がある」。
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