「障がいある子どもにオンライン家庭教師を」“学びの危機”を救え 津田塾大の学習支援プロジェクト
オンライン授業の様子
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 新型コロナウイルスの影響で大きく様変わりした子どもたちの学習環境。そんな中、学びにくさを抱える子どもたちに向けたオンラインの学習サービスに注目が集まっている。

【映像】オンライン授業の様子

先生:「今日の漢字料理のベースの味、部首となるのは“木”です!」
生徒:「今日は木ですか!木だけに、“奇遇”ですね」

 ユニークな方法で漢字を勉強する生徒とそれを教える教師。この授業は、津田塾大学の現役学生や教員らで活動を行う『まなキキプロジェクト』。2020年の春から障がいを持つ子どもらに向けた学習支援を開始し、現在はYouTubeにオンライン授業の動画などを投稿している。代表を務める津田塾大学の柴田邦臣教授は、「子どもたちが学びの危機に瀕している」と話す。

「多くの学校が長期休校し、多くの障がいのある子どもたちが学習のための支援が受けられなくなる、受けにくくなるという学びの危機に直面することになりました。その学びの危機に気が付き、何かできることはないのかと始めました」

 2年前、突如私たちの生活を一変させた新型コロナウイルス。学校が休校になったり、オンライン授業に切り替わるなど、子どもたちを取り巻く環境は大きく様変わりした。こうした中、学びにくさを抱える子どもたちや障がいを持つ子どもたちに、「学ぶことの楽しさを忘れないでほしい」という思いから柴田教授らはまなキキプロジェクトを立ち上げた。

「障がいのあるお子さんは、ただでさえ特別な努力をしている。色々なサポートを得ながら机に向かって頑張って勉強している子が今まで多かったので、努力をする意思、そういったものをなかなか今持ちにくい。そういったところを支えて励ましていく、そういった必要があるんじゃないか、それが一番の問題なんじゃないかと思っています」

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 現在はオンライン授業の公開に加え、ネット上の教材などを紹介するサイトも開設。学生や卒業生らの協力もあり、徐々に裾野を広げている。

 更にこの団体では現在、障がいを持つ子どもたちに向けた新たなプロジェクト「オンライン家庭教師の派遣」を進行中。オンライン家庭教師は無料のサービスとなり、クラウドファンディングで資金を募っている。その返礼品となるのは、沖縄県の障がい者就労のコーヒー店で作られているコーヒーだ。メンバーの学生はこのクラウドファンディングについて次のように話す。

「障がい者就労のコーヒー店さんと出会って、その取り組みを経て誕生した経緯があるんですね。今回、それで購入頂けたら働いている人の給料にもなるし、障がいのある子どもたちにも学びを受けることもできます。更には、私たちもコロナですごく経済的に苦しんでいるという状態でもありますので、そういった学生の収入にもなるんだというところをアピールできるんじゃないかというような想いもありました」

 クラウドファンディングには現在、想定の3倍を超える支援が集まっている。その資金は教材のほか、コーヒー店の従業員や教師を務める学生の給料にも充てられるという。

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 柴田教授はこのプロジェクトを通じて「より多くの子どもたちの学びをサポートしていきたい」と話す。

「2月からは文系の3科目。英語、国語、社会の3科目を実施させて頂く予定でおりまして、4月からは算数、数学、理科などの理系科目に拡大をして、サポートを広げていきたいと考えています。障がいのある小学生や中学生の方が中心なんですけれども、不登校や学びづらさに直面されている方々は、広く募集をさせていただこうと思っています」(『ABEMAヒルズ』より)

子どもたちの学びの危機 支援プロジェクト
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