ハラスメント研修が4月から中小企業でも義務付け…形骸化しないための秘訣、そして現場で使える「かりてきたねこ」
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 職場で横行するハラスメントの被害を減らすための取り組みとして期待されている「ハラスメント研修」。2020年に施行された改正パワハラ防止法で義務化され、今年4月からは中小企業でも導入されることになる。

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 帝京平成大学教授でライフバランスマネジメント研究所代表の渡部卓氏は「大企業を中心に、全ての管理職が受けるパワハラ研修が毎日のように実施されるようになり、4月からは中小企業や任意団体、経営者団体等でも、実施についても議論が始まるだろう。ただし、その中身はまだ改善の余地がある」と話す。

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 「参加される方からは、どれがレッドカードで、どれがイエローカードなのか、その境を教えてほしいという声がとても多い。どう見てもアウトみたいなケースもある一方、7、8割は“グレーゾーン”で、簡単にマルかバツかでは答えられない。事例を25に分類しているものもあるが、細分化されると、かえってわからなくなる。例えば一刻を争うような時に強い言葉を使った、というケースではハラスメントはならないケースがある一方、繰り返し、しつこく、みんなの前で叱った、といったものはハラスメントになるケースもある。そうしたところを、映像化された教材を見ながら勉強するスタイルも増えている。

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 ただ、コンプライアンス、義務化という中で、“とにかくやらなきゃいけないから”と、形だけになってしまい、例えば社長さんは挨拶するだけで帰っちゃって、残された社員だけが受けたといったケースもある。あるいは厚生労働省もガイドラインを示しているが、講師が何百、何千とおられるので、スタイルもバラバラだ。一方通行で、事例を述べて1時間で終わりみたいな研修で、“具体的にどうしたらいいんだ”という疑問が残ってしまう会社もあれば、半日かけてやる会社もある。そこは質疑応答も入れたり、事後の参加者のアンケートや3カ月ごとに振り返りを実施するなど、丁寧な対応が必要だと思う」。

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 数々の研修を担当してきた渡部氏。一つの事例として、「叱り方を間違えてハラスメントと言われてしまうケースが多いが、そこは“かりてきたねこ”という語呂合わせだ」と話した。

 「(1)“感情的にならない”。怒ってそのまま叱り始めるのではなく、感情を抑えながらということ。 (2)“理由をしっかり話す”ということだ。説明責任がすごく言われている時代なので、自分は部長だから、局長だからと一方的に話すのではなく、理由をしっかり説明する。(3)“手短に”。ハラスメントと言われている方は、しつこく、くどい方が多い。(4)“キャラクター”。外見や性格、行動パターンには触れない。(5)“他人と比較しない”。我々が若い頃は他人と比較されながらガンバリズム、みたいなところがあったが、今は一人ひとりを尊重する。(6)“根に持たない”。パワハラ上司は、A君はすごい、B君は全然使えないといったことを言いがちだ。そういう固定観念みたいなものがハラスメントに繋がる。(7)“個別に叱る”。個室で座りながら、落ち着いてしっかり。これらができればいいが、どうしても朝礼など、皆の前でバーンとやってしまう人がいる」。

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 その上で渡部氏は「やはり本当にいい職場は、いいコミュニケーションが出来ている職場なので、そこに落とし込んでいくということが求められていると思う」と指摘する。

 「ハラスメントという言葉は、今や誰でも知っているし、そういう中で、上司や管理職が逆に神経質になってしまったり、本来バシッと言わなくてはいけないところをためらってしまったり、という悩みも多い。これも”ハラスメント研修は法律だから”のような“べき論”ではなく、コミュニケーションのあり方について考える機会にした方がいいだろう。その意味では、昔の強く清く正しく力強く、喋るのが上手いリーダーがトップダウンでいくのが良いのだ、というところから、共感を得られる話し方、また聞き方も上手になれという教育も始まっている。パワハラは当事者意識、リーダーシップの部分のゆがみでパワハラは出てくるので、研修の中ではリーダーシップのあり方についても混ぜていかないといけない。

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 また、相手の立場と自分の立場をよく勘案しながら、でも一歩踏み込んで言うところは言う、というトレーニング。日本人は、どうしても引いちゃうことが美徳みたいなところがあるが、グローバル企業では、表現力、自己主張も重要だ。それはハラスメントが起きた場合に、難しいけれど、やられっぱなしではなくて行動を起こすということにも繋がる。そしてアンコンシャス・バイアスだ。女性らしくとか、男性らしくみたいな無意識の文化や伝統から出てくる偏見、差別についても、事例を挙げながら学んでいくことが必要だろう」。(『ABEMA Prime』より)

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