将棋の順位戦A級8回戦が2月4日に行われ、羽生善治九段(51)が永瀬拓矢王座(29)に敗れ、今期の成績を2勝6敗とした。この結果、3月3日の最終局に勝利しても参加10人のうち降級となる下位2人に入ることが確定。1993年度から名人9期を含み29期連続で在籍していたA級から、初めて陥落することになった。

【動画】藤井聡太竜王がA級入りに王手をかけた一局

 七冠独占、永世七冠、タイトル99期、棋戦優勝45回など、数々の大記録を打ち立てた将棋界のスーパーレジェンドが、苦しみながらも継続していたA級から、ついに陥落する。初のA級となった1993年度にいきなり挑戦権を獲得し、当時の米長邦雄名人から奪取に成功。名人位を合計9期獲得し、永世名人の有資格者にもなった。2018年の第76期名人戦七番勝負では、当時の佐藤天彦名人(34)に挑戦し2勝4敗で敗れると、第78期(2019年度)、第79期(2020年度)と2年連続で4勝5敗と負け越し。今期は、勝敗が同数で並んだ際の優先度に関わる「順位」が10人中8位という苦しいスタートラインに立っていた。

 1回戦こそ、同世代の佐藤康光九段(52)に勝利したものの、2回戦から4連敗し、7回戦までに2勝5敗。残り2局で連勝すれば逆転で残留も可能だったが、過去の対戦成績で4勝11敗と大きく負け越していた永瀬王座に序盤からリードを奪われると、相掛かりの激しい勝負で巻き返すことができなかった。今年度の成績も、本局を含めて13勝18敗、勝率.4194と、1985年12月のプロ入り以来、初めて年度勝率が5割を切ることが濃厚になっている。

 令和の天才棋士・藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)の登場により、平成の天才棋士・羽生九段の記録に改めてスポットライトが当たる機会も増えている。同世代のいわゆる「羽生世代」の棋士が順位戦A級や、タイトル戦でも活躍する中、ファンはタイトル100期の大記録達成や、「羽生マジック」と呼ばれる一手をまだまだ見たい。
(写真提供:日本将棋連盟)

【中継】順位戦 A級 8回戦 豊島将之九段 対 斎藤慎太郎八段
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