“ネタバレサイト”経営者ら書類送検 担当弁護士が明かす摘発の背景
【映像】違法ネタバレサイトに元欅坂46・佐藤詩織「本当に困る…」(1:10ごろ〜)
この記事の写真をみる(2枚)

 漫画「ケンガンオメガ」のセリフなどをいわゆる「ネタバレサイト」に無断でアップロードしたとして3日、警察はサイト運営会社と代表の男性を著作権法違反の疑いで書類送検した。

【映像】漫画『ケンガンオメガ』のほぼ全部のセリフを掲載

 代表の男性は容疑を認めたうえで「漫画好きの人たちと交流や情報交換したかった」「引用の範囲だと思った」などと話しているという。サイトは既に閉鎖されている。

 このネタバレサイト以外にも、違法サイトなどに誘導する「リーチサイト」も問題になっている。同日には「漫画天国」というリーチサイトで週刊少年サンデーの表紙を無断使用したとして、サイトを運営する埼玉県の男性(34歳)が著作権法違反の疑いで書類送検された。この男性は、漫画の中身を不正に読める海賊版サイトのURLを掲載していた。

 小学館側の弁護を担当している弁護士・中島博之氏は、今回の摘発に至った理由について、こう語る。

「一連の経緯を説明しますと、今回摘発されたネタバレサイトは漫画の最新話が公開されるたびに、キャラクターのセリフや、漫画のコマに描かれている情景など、漫画の全内容をそのまま抜き出しているようなサイトでした。作者の創作物を盗んで、広告収入を得ているような行為でしたので、2020年5月に小学館側からサイトを管理するサーバ会社に発信者情報開示請求を行いましたが、サイト運営者が開示を拒否したため、情報が開示されず、民事の裁判となりました」

 中島弁護士によると、その後、昨年3月、裁判で「文字の抜き出しも著作権侵害に当たる」という判決が出たという。情報が開示され、サイト運営者がWeb制作会社であることがわかり、警察に相談した結果、今回の摘発につながったという。

“ネタバレサイト”経営者ら書類送検 担当弁護士が明かす摘発の背景
拡大する

 摘発されたネタバレサイトには、小学館アプリで連載中の「ケンガンオメガ」などの漫画のほぼ全てのセリフが掲載されていた。中島弁護士は「ネタバレが違法なのではなく、丸ごと抜き出している行為が違法だ」と話す。

「報道では“ネタバレサイト”と書かれていますが、ネタバレ自体が違法なのではなく、詳細に文字を抜き出している行為が違法となります。引用するための要件の1つに、主従性があります。自身の意見が“主”であり、引用される部分はあくまで“従”でなくてはなりません。今回の場合、漫画のほぼ全内容が掲載され、自分の感想は数行程度しかないサイトであり、主従が逆転していました」

 中島弁護士によると、引用が認められるのは、あくまで部分的に“従”の役割を果たすときだけだという。一方、リーチサイトの問題点について中島弁護士はこう話す。

「2020年、法改正の施行によって、コンテンツを違法ダウンロードできるリンクを集めた『リーチサイト』の運営も違法とされました。また、翌年の法改正の施行では、静止画を違法ダウンロードできるサイトや、違法アップロードされたコンテンツと知りながらダウンロードする行為も違法となりました。ですので、今後は運営する側だけでなく、利用する側も場合によっては罰せられる可能性があります」

 著作権法違反といえば昨年6月、映画を無断で短く編集した「ファスト映画」をYouTube上に公開したとして男女3人が宮城県警に逮捕された。中島弁護士によると、この取り締まりは「大きな抑止効果を生んだ」という。

「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が調査したところ、ファスト映画の投稿アカウントは当時55ありましたが、今は一桁台になり、壊滅に向かっていることがわかっています。同じように、今回のネタバレサイト、リーチサイトの摘発も抑止効果を生むと思います」

(『ABEMAヒルズ』より)

【映像】“ネタバレサイト”経営者ら摘発 弁護士が明かす背景
【映像】“ネタバレサイト”経営者ら摘発 弁護士が明かす背景
【映像】リーチサイト「漫画天国」運営者を書類送検
【映像】リーチサイト「漫画天国」運営者を書類送検
【映像】映画や書籍を要約する“ファストコンテンツ”を経済学者が肯定する理由
【映像】映画や書籍を要約する“ファストコンテンツ”を経済学者が肯定する理由
「交流や情報交換したかった」“ネタバレサイト”運営者を書類送検
この記事の写真をみる(2枚)