44歳で格闘家に転身した「元・年俸120円Jリーガー」が見せた渾身の右フックと左ヒザ。当初は負けを予想した視聴者からは「おじさんが勝った」「同年代だから嬉しい」と共感コメントが相次ぎ、セコンドについた元K-1のスター選手で同い年の小比類巻貴之は「モンスター、激レア、最高だ」と自身のSNSで絶賛した。
2月16日に新宿FACEで開催された「RISE FIGHT CLUB」で、元プロ野球選手の相内 誠(K26)と元Jリーガーの安彦考真(Executive Fight 武士道)が対戦。1ラウンド、安彦が渾身の右フックからヒザを叩き込みKO勝利を収めた。自ら”職業・挑戦者”を掲げる44歳の激勝に、「中年の星」「生き方がカッコイイ」など称賛の声があがった。
薄いオープンフィンガーグローブで殴り合う過激な大会で繰り広げられた2大球技出身者の代理戦争。プロ野球を素行不良で解雇された相内と、40歳から一念発起してJ2のチームと契約、“年俸120円Jリーガー”としてテレビ番組で紹介された安彦は、キャラクターも真逆だ。
試合前には相内が「練習しなくても大丈夫。毎日六本木で飲んでます(笑)。飲みの予定があるので早く終わらせたい」と毒づくとファンからは「ヒールだなぁ」「これは安彦を応援するしかない」と“安彦支持”の声が多数を占めた。
試合は長い足を活かしてローを飛ばす相内の攻撃にひるむことなく、果敢に前に出てパンチを連打していく安彦。荒削りな戦い方だが、ABEMAでゲスト解説を務めた中村寛は「距離をとっているときは(安彦は)冷静。出入りがハッキリしているし、大きい人と戦う時は有利」と理にかなった戦い方であると指摘。
ラウンド中盤。相内が振り下ろすパンチを数発当てるが、安彦が冷静にスウェイバックでかわして右フック。これは空を切ったが、再び右をフルスイングすると“バコッ”と鈍い音が響き、相内の巨体が崩れ落ちた。
両手をつき、やや目が泳いだ状態の相内に、ゲスト解説の松本芳道は「(相内は)もう飲めないですね(笑)」と冷ややかなコメント。何とか立ち上がった相手に安彦はとどめの左ヒザを叩き込むと、相内はリングに両手をついて悶絶。マウスピースを外すと“戦意喪失”と判断したレフェリーがゴングを要求。下馬評を覆す勝利に松本が「中年の星ですね、応援したくなる」とねぎらいの言葉を送ると、中村も「安彦選手は立ち合いの集中力があった。思いっきりがいい」と称賛した。
19歳で単身ブラジルへ渡ってプロ契約するも、ケガで断念。裏方を経て40歳でJリーグ、格闘家に挑戦。まさに“職業・挑戦者”を地で行く人生にファンからは「おじさんが勝った」「同年代だから嬉しい」「中年のスーパースターだ」といった声が寄せられた。
この勝利は、安彦をサポートし、セコンドにつき、抱き合って勝利を喜び合った元K-1選手で同い年の小比類巻貴之の影響も大きいだろう。試合後に小比類巻は自身のツイッターで「スーパーポジティブモンスター! 安彦考真のリングで最高潮のエネルギーを貰えた。彼は凄いよ。モンスターだよ。激レア! だよ。最高だよ!」と興奮気味に勝利を称えた。