師匠の前で輝く“西の王子”斎藤慎太郎八段、大会無傷の6連勝「優勝しかないです」/将棋・ABEMA師弟トーナメント
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 なんとも師匠孝行の弟子だ。「第1回ABEMA師弟トーナメント」準決勝の第1試合、チーム谷川とチーム畠山の対戦が2月19日に放送され、チーム畠山がスコア3-1で勝利し、決勝進出を決めた。活躍が光ったのは斎藤慎太郎八段(28)。この試合で2連勝とすると、予選の2試合・4局と合わせて今大会無傷の6連勝とした。整ったルックスと穏やかな物言いで「西の王子」とも呼ばれる人気棋士だが、「師匠のおかげもあって、いい雰囲気でできている。優勝しかないです」と、優しい声ながらはっきりと宣言した。

【動画】大会無傷の6連勝を果たした斎藤慎太郎八段

 最後まで諦めず、粘り強く指す正統派の居飛車党。揮毫でも「風」という字を用いる斎藤八段だが、師匠・畠山鎮八段(52)の熱い戦いぶりを受けてか、まさにチーム名「熱風」のように攻め立てた。スコア1-1から登場した第3局では、研究会でも数多く指してきた都成竜馬七段(32)と対戦。斎藤八段・居飛車、都成七段・角交換型向かい飛車の対抗形になったが、じっくりとした指し回しではなく、この一局ではバチバチとぶつかった。これには見守っていた畠山八段が「あー、行った。しかし行くのも怖いけどな。師匠の悪いのが乗り移っていないか…」と心配するほど。本人も「最後、追い込まれて負けかなと思いながらやっていました」と苦しい将棋だったが、常に前に出て攻める積極性が勝利を運んできた。

師匠の前で輝く“西の王子”斎藤慎太郎八段、大会無傷の6連勝「優勝しかないです」/将棋・ABEMA師弟トーナメント
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 続く第4局でも、レジェンド棋士・谷川浩司九段(59)と激しい勝負を繰り広げた。谷川九段・中飛車、斎藤八段・居飛車と、またも対抗形からスタートした一局は、またも斎藤八段が鋭く攻めた。「自が怖いところで強く踏み込んだのが、結果的にいい方に出ました。緊張感のある仕掛けになったんですけど、まずまずの動きになった」と振り返るように勝負、勝負と攻めていく中で、形勢の差を広げていった。最終盤では、谷川九段から連続して王手を受けたが、ここでは冷静かつ正確な対応で逃げ切り勝ち。個人6連勝目は、チームを決勝に導くものになった。

 試合後、斎藤八段は攻めの姿勢について問われ「師匠の将棋を見て感化されたのかもしれませんが、せっかくの機会で師匠と戦っているので、いい相乗効果があればと思います」と、にっこり微笑んだ。順位戦A級では2期連続で名人挑戦を果たすなど、タイトルホルダーに続く活躍を見せている。一番の師匠孝行は、名人獲得かもしれないが、まずはこの師弟タッグによるトーナメントで、初の王者となることを目指す。

◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】決勝に進んだチーム畠山
【動画】決勝に進んだチーム畠山
【動画】大会無傷の6連勝を果たした斎藤慎太郎八段
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師匠の前で輝く“西の王子”斎藤慎太郎八段、大会無傷の6連勝「優勝しかないです」/将棋・ABEMA師弟トーナメント

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