昨年、29秒での瞬殺KO負けを含む2度の惨敗を経験した男が見事に復活。相手のクロスカウンターを先回りし、一撃で仕留めた技ありの衝撃KO。コーナーサイドに吹き飛ばされ、虚な目で崩れ落ちた敗者の姿が、その衝撃度を物語っていた。
2月20日に後楽園ホールで開催された「Krush.134」。佑典(月心会チーム侍)と林勇汰(FLYSKY GYM)の対戦は、2ラウンド、佑典が右フックで豪快にKO勝利。昨年の秒殺負けから一転、強豪から奪った鮮やかな完封勝ちに視聴者からは「記憶が飛びそう」「テンプルを打ち抜いた」「吹っ飛んだ」など驚きの声があがった。
横山朋哉戦、29秒でKO負けを喫するなど、KO連敗中の佑典と、網膜剥離を克服し昨年2年ぶりの試合でKO勝利を飾った林の対戦。
1ラウンド序盤、積極的にプレッシャーをかける林に対して、サウスポーに構えてゆったりとしたスタンスの佑典は、下がりながら蹴りを飛ばすなど落ち着いた立ち上がりを見せる。ラウンド残り30秒、終始様子をうかがう姿勢だった佑典が、スーパーマンパンチのような挙動の左ストレートから、右を叩き込んで一つ目のダウンを奪う。さらに追い討ち、終了のゴングと同時に左ストレートと右フックの連打で2度目のダウンまで奪って見せた。
ゴングに救われた形の林だが、ダメージは大きい。2ラウンド、足を使って再び前に出る林だが、鼻から出血も見られる。一方の佑典は外側にサークリングしながらローで林の攻撃を完封。飛び込みざまの奇襲のパンチも軽くいなすなど、動きの一つ一つに余裕がある。
2ラウンド中盤、佑典の下がりながらの右で体を入れ替えられコーナーを背にした林に、踏み込んだ佑典が渾身の右フック。テンプル付近を打ち抜かれた林はパンチの衝撃で勢いよく吹っ飛ぶと、コーナーロープから身を乗り出すようにしたのち、ロープにもたれ掛かるようにしてダウン。カウント1でレフェリーがゴングを要求したことを受け、目が飛んだような虚な表情でゴングを聞いた。
狙い澄ました佑典の一撃にファンからは「吹っ飛んだ」「パンチにスピードがある」「ノーモーション凄い」「クロスを完全に読んでいた」と驚きの声が。リプレー映像で確認すると、じりじりと距離を縮めて相手の左を先回りするように刺すような右。しかも一瞬フェイントで左を見せてから、一発で仕留める技ありのKO劇を放送席は「終始冷静に倒しきった」と称賛した。
連敗中だったこともあるだろう。下馬評では林有利との声も多い中、佑典のパフォーマンスに驚く声も多く「想像以上に強かったな」「ちょっとレベルに差があった」「これはトップ戦線に行くだろう」など、期待値の声も多く上がっていた。
本人には背水の陣という思いもあったのか、佑典はマイクを握ると「2連敗して終わっていくかと思われていたかと思うんですけど、今が一番強くなっている」と述べ「ここからベルトを目指してはい上がっていきます」と力強く続けた。