反則負け、相手の欠場、不戦勝と続いた「いわくつきのカード」の決着戦は、血しぶきがカメラに飛び散り、視聴者が騒然とするドロドロの戦いに…。延長戦の末に訪れた“意外な”エンディングに茫然自失の敗者が、勝者の握手を拒否する一幕も見られた。
2月20日に後楽園ホールで開催された「Krush.134」。堀井翼(K-1ジム五反田チームキングス)と南雲大輝(八光流柔術総本部)の4度目の対戦は、延長ラウンド終了間際に南雲が右フックで堀井からダウンを奪い判定勝ちを収めた。
“因縁”というより、“呪縛”にも近く腐れ縁とでもいうべきか。2020年6月の初対戦は、堀井がローブローで続行不可となり反則勝ち。2カ月後の再戦と3戦目のライト級トーナメント1回戦は、ともに堀井の欠場で中止・不戦勝と拳を合わせることはなかった両者が完全決着戦として臨んだ待望の4戦目だ。
「何発金的を蹴られても普通にKOする。決着をつけて南雲と絶交する」と捲し立てる堀井に、無表情で闘志を燃やす南雲。戦前の態度は対照的だった。しかし、試合開始とともに前に出て打ち合う姿勢からは、両者の勝利への強い意志が感じられる。
2ラウンド後半、拮抗した試合展開のなか、南雲の左フックが堀井の右眉付近を切り裂いて出血。その後も出血は収まる気配がない。2ラウンド終了間際には南雲の右フックを被弾した堀井がフラッシュ気味に倒れるも「ダウンじゃない」とアピール。直後にこの試合で2度目となるドクターチェックによるストップとなった堀井は、声を張り上げ苛立ちを隠し切れない。
3ラウンド、堀井の遠距離からの蹴りに手を焼く南雲がクリンチによるイエローカードで減点。これにより判定は2人のジャッジがドローと判断し、延長戦へ突入した。そして雌雄を決する延長戦、堀井は前へ前へと勝負に出て勝負をかける。一方、消耗気味の南雲はフラフラ状態、互いに残された体力を振り絞るように手足を振るった。
目尻からの出血がさらに激しさを増した堀井。すると、血しぶきが中継のカメラに飛び散る場面にABEMAの視聴者から「ドロドロの展開」「カメラに血が…」「死闘だな」と驚きの反応が。このラウンドで手数で勝る堀井は、残り1分で試合を決定づけようと攻撃の手を緩めない。
しかし、南雲が一方的に貰う場面が目立つ中、終了のゴング間際に南雲の左フックがヒットし、思わず手をついた堀井。フラッシュ気味の一発もありすぐに立ち上がったが、無常にもダウン判定。数秒前まで「堀井の勝ち」「堀井だろ」といった声が多かっただけに「まじか…」「最後の最後でダウンか」と同情の声が寄せられた。
最後の5秒、痛恨のダウンの結果を受け、判定は3-0で南雲の勝利。ダウンの瞬間両方にクビを振り、その後ガックリとうなだれた堀井。試合後の南雲の呼びかけにも、放心状態で握手を拒否して通りすぎた姿が堀井の無念さを物語っていた。