「国連もNATOも日本も何もしてくれない」「国や家族を守りたいと、士気は非常に高まっている」ロシアによるウクライナ侵攻は、ゼレンスキー政権の転覆まで続くのか
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 ウクライナ東部にある“親ロシア派”のドネツク州とルガンスク州の“独立”を承認した上、その“平和維持”を名目に侵攻を開始したプーチン大統領。日本を含むG7や国際社会からは非難の声が上がり、経済制裁も始まっているものの、効果は未知数だ。

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 24日夜の『ABEMA Prime』にウクライナの首都キエフから生出演したパルホメンコ・ボグダン氏(小・中学校時代を大阪で過ごす)は「ウクライナ人は諦めている。自分たちが戦争をしたくないから、国連もNATOもEUもアメリカも、もっと言えば日本も何もしてくれていないと、守ってくれないと諦めている」と話す。

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 「1994年、保有量でいえばアメリカ、ロシアの次に多かったウクライナは、アメリカ、イギリス、ロシアが守ってくれるというブダペスト条約を結び、日本の憲法9条のように核放棄をした。しかしそれがロシアのクリミア併合によって侵されてしまった。その時も経済制裁は行われたけれど、アメリカも日本もロシアの銀行口座を全て凍結したわけではないし、ビジネスも取りやめたわけではない。その程度で済ませようとした、そのしっぺ返しが来ているのだと思う。

 ウクライナ人はロシアにクリミアを併合されてからの8年間、危機的状況で大変な思いをしていると世界に言い続けてきた。僕自身、軍隊にいて亡くなった友人もいるし、ルガンスクやドネツク、クリミアから逃げてきた人を手伝ったこともある。もともとウクライナ人とロシア人は似ている部分があるし、親戚も多い。そういう人たちが殺されている現実があるのに止めようとしない。そんなバカげた話はない。アメリカやイギリスは約束したなら軍隊を入れてウクライナを守るべきだし、それをしないでただニュースで取り上げるのは、非常におかしな話だ」。

■「武器商人に使われたゼレンスキー大統領が原因だ」

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 他方、ロシアの政権幹部とも独自接触のあるという愛国者団体「一水会」の木村三浩代表は、ボグダン氏の「我々はゼレンスキーさんが大統領であることを誇らしく思う。前の大統領だったらとっくに逃げていると思うし、今の状況で誰がこのポジションを務められるか」とした点に、強く反論する。

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 「(首都キエフを脱出した)ヤヌコーヴィチ大統領を倒したのは誰か。やっぱり平和が一番だし、ウクライナも8年にわたって苦労してきたが、ゼレンスキー政権以前の政権はミンスク合意を締結し、ロシア系住民の多い東部地区に特別の地位を与えて話し合っていこう、選挙もやっていこうということで合意もしてきた。

 国際社会も、フランスのマクロンさんが頑張ったり、ドイツのショルツさんが頑張ったりしてきた。ゼレンスキーさんも平和的に解決していけばよかったのに、ミンスク合意を壊し、アメリカやNATOから武器の供与を受けた。僕に言わせれば武器商人に使われたではないか。武器商人がウクライナに武器を一生懸命に供与する中、ドイツがヘルメットだけしか供与しなかったのは賢明だ。やはり今回の事態を招いたのは、ゼレンスキーさん政権だ」。

 その上で木村氏は、ロシア軍による侵攻について次のような見方を示した。

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 「プーチン大統領も演説の中で“非軍事化を目標としている”と言っているし、軍事施設のみを対象にしていると思う。だから平和に向かう一つのステップ、話し合いのための一つのソリューションであって、戦争ではない。また、NATOが1997年以前に戻ることだ、とも言っている。本当はワルシャワ条約機構が無くなったとき、NATOは解体してもよかった。しかし残ってしまったがために拡大しなくてはいけなくなっている。そういうこともあるのに、日本の報道を見ていると、アメリカのABCなどの情報の“コピペ”ばかりやっていて、ロシアが理由もなく攻めていっているのではないか、ということばかりだ」。

■「ミンスク条約を破ったのはロシアの方だ」

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 また、ジョージア出身の慶應義塾大学SFC研究所上席所員、ダヴィド・ゴギナシュヴィリ氏は、ボグダン氏の「グルジア(ジョージア)だって2008年に同じような経験をしている。サーカシビリ元大統領はウクライナ人になって、ウクライナ政治を変えようとしたこともあった人だし、僕らはすごくグルジアのことが大好きで、応援している。グルジアの人たちも、すごくウクライナのことをサポートしてくれている」という話を踏まえて語る。

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 「私は客観的な立場でいるつもりだし、そこから世界秩序を考えた上でロシアを止めなければならないと判断している。木村さんが“平和が一番”と言われたことはおっしゃる通りだと思うが、その平和のためのミンスク条約を破ったのは、やはりロシアだ。また、木村さんは平和のための努力が8年間も続いてきたと言われたが、そうではない。戦争が8年間も続いていたということだし、毎日のように死者が出ていた。そしてロシア軍がクリミアに入ってから社会が不安定になり、市民同士の小競り合いも起きた。そこを忘れてはいけない」。

 さらにゴギナシュヴィリ氏は「思うに、私たち人類、国際社会は歴史から学ばないといけない。しかし実際には何も学んでいないことが分かる。例えば“国民を守らなきゃいけない”という理由で戦争を始める手段を発明したのはロシアではない。1938年にはヒトラーが全く同じ理由でチェコスロバキアのズデーテン地方に侵攻した。これを当時の国際社会がミュンヘン条約で認めたことで、結局は第2次世界大戦に発展してしまった。あるいは1990年代、ロシアが同じような手段でジョージアから南オセチア、アブハジアを切り離し、2008年にはロシアのパスポートを配って“自国民になったから守らなきゃいけないんだ”と主張して戦争を始めた。国際社会は、これも容認してしまった。そして2014年に、ウクライナの危機が発生し、今日まで展開してしまったわけだ」と訴えた。

■「ウクライナにとっては、戦う以外の選択肢はない」

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 また、今後について木村氏は「プーチンさんの話を聞いていると、NATOが東方に拡大するのは違うじゃないか、と主張している。同時に、ドネツク州とルガンスク州にはロシア系住民が400万人いる。この人たちの生活を維持できるようにしてあげるというのが着地点、平和のための代償だと思う。だから私は経済制裁には反対だ。人を苦しめ、縛っていく経済制裁はもはや戦争だ。日本だって、過去に経済制裁を受けた結果、暴発している。やはり平和のための努力をしなければいけない。例えば国際社会がこの2州に対して調査団を派遣して現地を積極的に見るということも必要だ。そして停戦のためにミンスク合意をカバーしていこうじゃないかという談判を積極的にやらなければいけない」との持論を展開。

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 一方、ゴギナシュヴィリ氏は「プーチンが何を目的としているかも非常に予測しにくいし、落としどころについても、誰もはっきりと答えられない状況だ。私が思うには、2州の独立だけではなく、政権交代も目指しているんじゃないか。つまり、ウクライナで傀儡国家を作りたいんじゃないか。2州だけであれば、2州だけであれば、そこで戦闘をやれば済んだ話だからだ。ただ、ロシアが最も懸念しているのは、NATOの拡大というよりも、いずれ自由民主主義の価値観がロシアにも浸透してくるんじゃないか、ということだと思う」と話す。

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 「ウクライナにとっては、実は選択肢は限られていて、頭を下げるか、戦うかしかない。しかし、頭を下げるという選択肢は現実的ではない。ウクライナ国民、特にウクライナ兵は“守りたい”ということで士気が非常に高まっている状況なので、政府が“いやいや、頭を下げる”と言うのは非現実的。つまり戦う以外、選択肢はないということだ。もちろん、軍事的な能力を比較すれば、ロシアがウクライナを圧倒している。しかし戦争というのはいろいろな要素を検討しないといけない。自国、さらに言えば家族を守ろうという動機づけが強いウクライナに対し、ロシアの中には、“なんのために戦っているんだ”という疑問を抱いている人も多いはずだ。

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 そして国際社会の対応だが、経済制裁の効果は非常に弱かったという指摘はできる。例えばロシア国内にはオリガーキーという、大金持ちのビジネスマンで、政治家にも影響力のある財閥のような存在が結構いる。そこを対象に制裁を行い、ロシア経済全体が痛むような制裁を加えない限り、効果は出ないと思う。世界がまさに冷戦と同じような状況に戻ってしまった今、世界の中での日本の位置づけ、どの国と価値観を共有しているのかを見れば、それは欧米諸国と肩を並べる立場ではないか。岸田総理が言っているように、G7と協力してロシアを止めるための措置をとらなければいけない。日本は経済という非常に強い武器を持っている。ハードパワーは軍事力だけじゃない」。(『ABEMA Prime』より)

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