脳を揺らされて千鳥足で後退。その後、テンプルを後ろ回し蹴りで打ち抜かれ、ケージにもたれ掛かるように相手に背中を向けて完全フリーズ。戦意喪失が明らかな状態にもかかわらず、リング中央でレフェリーに“グイッ”と両手を持ち上げられ半ば強引に試合続行も直後にTKO負けを喫するという珍しい展開にファンが注目。「無理やりファイティングポーズw」「止めてあげて」など同情的な声が上がった。
2月25日にシンガポールで開催されたONE Championsihp「ONE:FULL CIRCLE」。グート・イノセンテ(ブラジル)とブルーノ・スサナ(ポルトガル)のヘビー級キックボクシング戦は、イノセンテが2ラウンドで圧巻のTKO勝ちを収めた。一方、多彩な攻撃に晒され続けてもなお、前を向いて戦い続けたスサナに「ハートは強かった」「よく頑張った」など、ファンから称賛の声が寄せられている。
MMAとキックの二刀流ファイターであるイノセンテとポルトガルの特殊部隊出身のスサナの対戦は、試合序盤からイノセンテの迫力と爆発力が炸裂。ロー、前蹴り、スピンキックと蹴りのバリエーションも豊富なイノセンテはスイッチを繰り返し、左ストレートからミドル、フックと器用に打ち分けながらスサナを追い込んでいく。
スサナも何とか返そうと手を出すが、止まない圧に息切れぎみ。早々に荒い息遣いが聞こえてくる。1ラウンド終了間際には、掴みのヒザから地獄のような連打、スピンキックとやられ放題だ。それでも折れない気持ちの表れか、起死回生のスピンキックを繰り出すも足がもつれて逆効果になる場面も。試合を中継したABEMAの視聴者からは「大丈夫か」「もうスタミナ0だ」など、辛うじて1ラウンドを乗り切ったスサナを心配する声が囁かれた。
2ラウンドもスサナの厳しい状況は続く。開始早々に強烈なローを被弾、痛みから思わず軸足を変えるほどのダメージ。そして、追い討ちをかけるように強烈な左フックを被弾すると、脳が揺れて“ピヨピヨ”状態のスサナは、首をプルプル振りながら千鳥足で後退り。
それでも虚な目で前進するスサナ。しかし、強い気持ちとは裏腹にガードはがら空き。頑丈さをアピールするように自らの頭をポンと叩き最後の抵抗を試みるも、そんな矢先、イノセンテが華麗なスピンキックをスサナのテンプルに一閃。さすがのスサナも気持ちが折れたか、ケージにもたれ掛かるように敵に背中を見せて完全フリーズ状態に陥った。
虚無の表情を浮かべ、戦意喪失のままリング中央に戻されたスサナに対してレフェリーは「前へ、前へ」と戦う姿勢を要求。すると業を煮やしたか…スサナの両手を掴んだレフェリーがグイッとその手を持ち上げるようにして試合を再開させた。その直後、パンチの連打を一方的に貰い続けたスサナを見たレフェリーが試合を止めた。
試合後には「動ける巨体は面白い」「(ONEの)ヘビー級史上一番強く見える」など、速くて上手い技巧派ヘビーの新星・イノセンテへの賞賛が並ぶ一方、フルボッコ状態でも前に出続けたスサナに対する「ハートは強かった」など労いのコメントも。中には半ば強引に試合続行としたレフェリーの振る舞いに注目したファンから「無理やりファイティングポーズw」「止めてあげて」などの同情的な声も多く寄せられていた。