ロシア国内の“3つの分断・格差”に焦るプーチン大統領…西側の情報に触れる若い世代の反発を抑えられず?
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 2月27日、核を含む抑止力部隊を厳戒態勢に移すよう指示したロシアのプーチン大統領。28日にはショイグ国防大臣がプーチン大統領に対しロシア軍の戦略核兵器部隊が戦闘態勢に入ったことを報告したと発表している。

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 元産経新聞モスクワ支局長で大和大学社会学部教授の佐々木正明氏は「プーチン大統領がわざわざ国営メディアを使ってこの命令出す場面を見せたところに注目している。プーチン大統領としては大きく3つの誤算があり、そこも踏まえての“抑止力”だということだろう」と話す。

 「1つ目が、国際社会による、SWIFTまでを含む制裁強化が予想以上の早さで行われたということ。2つ目がウクライナ軍の反撃。そして3つ目が、ロシア国内の世論の予想以上の高まりだ。産経新聞の私の後輩記者がモスクワ市内の公園で市民10人くらいに聞いてみると、外国のメディアに対して“戦争はいけない”ということを言う。これだけでも信じられないほどの雰囲気だし、フィギュアスケーターのメドベージェワさんがInstagramでメッセージを出した。こういう意見が外に漏れてくるというのは、ちょっと緩くなっている感じがする。

 プーチン大統領には政敵がおらず、今も支持基盤は盤石なので、あくまでも“反戦”であって“反プーチン”ではないということには注意すべきだが、制裁は“兵糧攻め”のようにじわりじわりと影響を与える。プーチン大統領としても事前に様々な反動があることを計算して武力行使に移ったはずだが、今後の国内世論の動向、治安部隊の動きに注目だ」。

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 その上で佐々木氏は、デモの参加者に注目していると話す。

 「プーチン政権が始まって以降、ロシア国内には“3つの分断・格差”がある。1つ目が、ソ連崩壊から30年が経っているので、あの時代を知っている人と、そうでない人とでは、全く違った考え方をすることだ。2つ目が、プーチン大統領の演説をずっと見させられるような、ある意味では“洗脳”みたいな報道をしている国営メディアの情報にばかり接している人と、独立系メディアや西側からの情報に触れている人との違いだ。そして3つ目だが、今のウクライナを知っている人と、知らない人の違いだ。こうした分断・格差が大きくなった結果が、予想以上のデモに結びついているのではないか」。

 とりわけ注目されるのが、“若い世代”だという。

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 スマホを持って、西側の情報にも接している若者にとっては、ソ連の崩壊は日本で言う明治維新のような感覚だと思う。また、モスクワにいる、インテリで、西側にも旅行をしたことのあるような若い層は、反政府運動の指導者ナワリヌイ氏の支持層とも重なる。そこにウクライナのことを知っている人、ウクライナに親戚がある層も加わってきている。ウクライナのゼレンスキー大統領も、これらの層を狙って情報を発信していると思う。例えばロシアで流行っているTelegramというSNSは秘匿性が高く1日で履歴が消えてしまうものなので、反政権の気持ちを持つ人たちはそこで情報のやり取りをしている。ゼレンスキーさんは、このTelegramを使って、ロシア語の演説を行った。

 一方、プーチン大統領には若者を使って“プーチン親衛隊”みたいなものを作っているし、第2次世界大戦中にバンデラという人物がナチス・ドイツとくっついてソ連人を殺害したことを踏まえ、今のキエフを“ナチスの亡霊”だと呼び、NATOと一緒になってロシアに攻めてくると煽っている。しかし今のウクライナにはそんな人はいないし、親戚がいる人、ビジネスをしている人など、ウクライナと関わりのある人であれば、この戦争には大義が無いと思うだろう。通常戦力でもウクライナを圧倒できるにも関わらずプーチン政権が早い段階で核攻撃を持ち出してきたこと、OMONという治安部隊を出して国内世論を抑えようとしていることも、やはり誤算への焦りなのではないか」。(『ABEMA Prime』より)

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