2年間のリハビリを経て復活した18歳ファイターが見せた左足への徹底したカーフ地獄。蓄積したダメージに足から崩れ落ちる様子に実況が思わず「“うわぁ、痛ぇ!”という声が聞こえてくるようだ」と驚きの声を上げた。
2月27日に東京体育館で開催された「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN ~第3代スーパー・バンタム級王座決定トーナメント~」。光佑 (WSRフェアテックス三ノ輪)と“狂拳”迅(WIZARDキックボクシングジム)の試合は3ラウンド、迅の徹底したカーフキック攻めに崩れ落ちた光佑が2度のダウンを喫してKO負け。“狂拳”という異名とは異なるクレバーな試合運びにも注目が集まった。
2年間のブランクを経てK-1の舞台へ帰ってきた迅は18歳。仕切り直しのキャリア3戦目、Krushで活躍する光佑との対戦となった。
序盤からローを飛ばしあうスピード感のある攻防。1ラウンド後半にはタイミングよくスピンキックを見せるなど、迅の躍動感溢れる攻撃が目立つ。
2ラウンド、中間距離でキレ味鋭いカーフキックを見せる迅は、コンパクトにパンチを当てつつも、相手の打ち終わりに右のカーフを返す狙いが明確だ。光佑も近距離で打って出るが、迅の左足への執拗な蹴りをもらうシーンが目立ってくる。この展開にABEMAでゲスト解説を務めた佐藤嘉洋は「迅は下がるときは下がる、圧力をかけるときはかける。バランスがいいですよね」と指摘した。
3ラウンド、迅が1、2ラウンドで与え続けてきたカーフによるダメージが一気に噴出。光佑の左足が悲鳴を上げ始める。
ラウンド開始とともに左足へのローを飛ばす迅。開始1分、このラウンド8発目の左足への蹴りがふくらはぎを捉えると、プツリと緊張の糸が切れたように光佑が苦悶の表情を浮かべてマットに沈んだ。その様子に実況の新谷賢太郎アナが「“うわぁ、痛ぇ!”という声が聞こえてくるようだ」と驚きの声。ここはなんとか立ち上がるも、光佑は足を引きずったままだ。
試合再開、光佑の左足を目掛け、迅の地を這うようなカーフキックが飛んでくる。ワンツーで反撃に出た光佑だが、足が付いていけず、もつれるようにしてダウン。背中をマットにつけ、天を仰ぐとレフェリーが試合を止めた。
16歳のときに首の椎間板ヘルニアの手術を行った迅が、リハビリを地道に重ねて掴んだ復活劇。狂拳ならぬ計画的な左足への蹴りで2年ぶりの勝利を収めた迅に、視聴者からは「狂脚だな」「拳じゃないのか」というツッコミも聞かれたが、多くが「よく復活した」「苦しみを経験した男は強くなる」「18歳で2年もリハビリ生活で大変だったな。おめでとう」など惜しみない祝福コメントが並べられた。
試合後、所属ジムのブログには勝利報告とともに「改めまして、2年間、彼を支えて下さいました、多くの皆様に、心より感謝の気持ちでいっぱいです。復帰する事が目標じゃない。世界一強い選手になる事。今日からまた、険しい道のりが始まります!」と力強い言葉が綴られていた。