階級が異なる“王者vs王者”の対決は予期せぬ“地獄絵図”状態に…。押さえ付けられ、一方的に殴られ続けるシビアな試合内容に実況席の現役ファイターが「早く止めた方がいい」と連呼する場面も見られた。
2月25日にシンガポールで開催されたONE Championsihp「ONE:FULL CIRCLE」。ライニアー・デ・リダー(オランダ)とキャムラン・アバゾフ(キルギス)のミドル級タイトルマッチは3ラウンド、デ・リダーが肩固めでタップを奪い完勝した。
ライトヘビーとミドルの2階級を制覇した柔術家・デ・リダーに、一階級下のウェルター級王者・アバゾフが挑んだ一戦。デ・リダー有利だが、組みだけでなくボクシング・スキルも高いアバゾフの一発の打撃にも期待が集まった。
しかし、ゴングとともにデ・リダーが突進すると、いとも簡単にテイクダウン。さらに上になると、長い足を使って相手を制しながらアバゾフの自由を奪っていく。すると中盤には、擦るようなヒジでアバゾフの目尻をカット。スタンドでクビを固定しながらヒザ連打、鮮血が滴り落ちる残酷な場面にABEMAの視聴者からは「地獄だ」「何もできない」と絶望にも似た声が。何とか組みから抜け出したアバゾフだが、体力を削られ、血まみれの顔には疲労感が色濃く漂っている。
2ラウンド、再びゴングともにデ・リダーがテイクダウン、無限のアリ地獄は続く。マウントからヒジを叩き下ろす姿に、この日ゲスト解説を務めた佐藤将光も「フレーム差があり過ぎますね、エグい…」と絶句。淡々と上から重いパウンドで殴り続けるデ・リダーの姿にファンからも「イジメに見えてきた」「もう止めてあげたほうが」の声。
圧倒的なコントロール能力と、どの位置からでも鋭く突き刺さるヒジと肩パンチ。強烈な打撃を加える度にデ・リダーが返り血を浴びる寒々としたシーンが延々と続いていく。すると、佐藤の口からも「止めていい、早めに止めてあげて欲しい。いやもう止めた方がいい」と冷静ながら語気を強める悲痛なコメントが聞かれた。
2ラウンド終了のゴングに救われたアバゾフは寝たままフリーズ状態。レフェリーのオリヴィエ・コストの「アップアップ(立て立て)」の指示にも動けないままだ。すると佐藤は「セコンドかレフェリーが止めたほうがいい(アバゾフが)立ててない」と危険水域のアラートを鳴らした。
それでも試合は続行され、3ラウンドへ。アバゾフが首相撲で最後の抵抗をみせるがデ・リダーが再びマウント。クビを固めるとアバゾフは完全に心が折れたか、ポンポンと相手と叩きあっさりタップアウトした。完勝のデ・リダーはこれでミドル級初防衛。一方アバゾフについて解説の大沢ケンジは「まだウェルター級の強い挑戦者がたくさんいるなか、上の階級に挑戦して、これ(惨敗)で弱く見えちゃうのは可愛そう」と、明らかに階級差のあるマッチメイクに苦言を呈していた。