岩田剛典は2022年もエンジン全開だ。
2021年について、インタビューで「めちゃめちゃ撮影していました」と充実感をにじませた言葉通り、今年は俳優としての出演作品が目白押し。現在Netflixで好評配信中の『金魚妻』をはじめ、気鋭の白石和彌監督と組んだ『死刑にいたる病』が5月6日に公開、続く6月17日にはディーン・フジオカとの名コンビが話題となった当たり役“若宮ちゃん”の再来で『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』が封切られるといった、濃密なスケジュールだ。
そうした中で、3月12日に全国公開となるのが『ウェディング・ハイ』。結婚式を舞台にした群像劇の本作において、岩田は新婦を略奪しに結婚式に乗り込もうとする元カレ・八代裕也をコメディセンスをフルに発揮し臨んだ。ちょっとイタイが憎めずかわいらしい裕也の七転八倒には、岩田のまた新たな一面が見られる。本作にまつわる撮影時のエピソード、ならびに2022年における意気込みを聞いた。
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「ああいう笑い、好きなんですよね」ブラックな演出がツボに
映画『ウェディング・ハイ』より
――『ウェディング・ハイ』で裕也を演じた岩田さんですが、とにかく躍動感のある演技・たたずまいがこれまでになく印象的でした。
もう本当に楽しかったですね。「あっという間に終わってしまったな」という感じだったんです。脚本を読ませていただいたときから、「この作品は本当に面白くなるだろうな」という予感がしていたんですが、初号を拝見したとき、その予想をまったく裏切らなかったので「これはいいぞ!」と思っています。
――コミカルパートも担っていましたが、ご覧になったとき、思わずご自身のシーンで笑ったりもしましたか?
どうかな!?僕のシーンは本当にちょっともう、バカなので(笑)。皆さんには、とにかく温かく見守っていただけたら、という気持ちです。…とはいえ、僕だけでなくキャストの皆さんのシーン、どれもすごく秀逸でしたよね!
――はい。ほかのパート、ネタバレにならない範囲だとどこで爆笑しましたか?
僕は(高橋)克実さんの哀愁漂う感じ…監督のブラックな演出にめっちゃ爆笑しちゃいました。ああいう笑い、好きなんですよね。披露宴のスピーチブロックは、どれもこれも面白かったです。篠原(涼子)さんや新郎新婦含め、真ん中にどしっといてくれる方がいるから、皆さんが遊べる感じの作品だったのかな、と思います。
映画『ウェディング・ハイ』より
――岩田さんは披露宴に乗り込もうとする元カレ役なので、独特の立ち位置ですよね。
そうでしたね。なので、本当に皆さんとの絡みがなかったんですよ。唯一絡みがあったのが、(謎の男を演じる)向井理さんくらいで。
――詳細は伏せますが、岩田さんと向井さんの“チェイスシーン”も爆笑ポイントです。
面白かったならよかったです。向井さんとは「初めまして」だったので、最後の“あのシーン”は「本当に大丈夫かな!?」と申し訳ない気持ちにもなりました(笑)。 ただただお互い楽しんでやっていましたし、段取りから爆笑しながらやっていました。
コメディ作品に意欲も「ふりきった芝居をやれる作品はすごく楽しかった」
――大九監督から具体的な演出はありましたか?
それが、僕は何も言われていないんです。「自由にやって」という感じでした。通常、キャラクターには「何歳で上京して、こうした職業に就いて、何を経験して」とかいう設定があるので、知っておくと自分の中で納得できたものとして深く作れることがあるんです。今回は元カレという役どころだったので、衣装合わせのときに「普段はどういう職業で、どういうふうに生活しているんですか?」みたいな話をさらっと監督に聞いたんです。そうしたら、「いや、もう職業とかそういうのいらないから!」みたいに言われて(笑)。めっちゃ面白かったんですけど。
だから今回は細かい設定を掘り下げて演じるとかではなく、ある種、お芝居ではあるんだけど、とにかく笑ってもらえるような、そうした笑いを生む感覚でいました。というのもあり、そのまま自由にやらせていただきました。
――衣装も、おひとりだけすごく派手でしたし。
本当に!真っ青なスウェットパンツで、すっげータイトなやつ。「普通に待合室いるのもちょっと恥ずかしいな…」って(笑)。
――『ウェディング・ハイ』に出演して、俳優としてのご自身に発見もありましたか?
こういうふりきったお芝居をやれる作品に身を投じられたことは、すごく楽しかったですし、自分の財産になりました。「こういう演技、楽しい」と思えて撮影に臨むことができたので。今後も機会があれば、コメディもやっていきたいです。
これまで列席した中で感動的だった結婚式は…
――『ウェディング・ハイ』というタイトルにかけて、今までご列席した中で感動的だったお式はありましたか?
毎回感動的だけど、やっぱり自分の近しい人…例えばEXILEメンバーだったり、自分の身内や家族の式は感動しましたね。感動のお裾分けをいただいた気持ちになるから。
――スピーチをされたこともあります?
スピーチはないんですけど、パフォーマンスは何度もあります。サークルの先輩の結婚式には何人かでチームを組んで、その日のためのパフォーマンスを作ってダンスしたりもしました。
――一連の流れで感極まって泣いちゃったり…とかの経験も?
え、ないです。
――ものすごくクールにおっしゃいました(笑)。
いやいや、泣くことはないだけで感動はしますよ(笑)。いいものですよね。当たり前ですけど、本人たちが一番感極まっているから、普段では見られない素の表情を見られたりもして、そこでグッとくるものはありますよね。
――岩田さんご自身の理想の結婚式はと言うと…?
いやあ、それはもう…できることならしたくないですよね(笑)。僕は面倒くさがり屋だから、両家の顔合わせとかも堅苦しくて嫌だし、1秒でも早く終わりたいと思っちゃうでしょうね。だけど、お嫁さんはやりたいだろうし、家族のためにも形式を取らないといけないから、しょうがないとは思うんですけどね…。僕はあまりそこに夢を感じなくて、「やっかいだなー!」と思っちゃう。誰を呼ぶ・呼ばないとかも考えたくない。「誰かやってくれ!」と思うから、絶対ウェディングプランナーさんに頼むと思いますよ。
――表面的には奥さんと一緒に盛り上がりつつなら、まさに本作のような展開ですよね。
そう、だからすごい新郎(※中村倫也演じる)の気持ちがわかる。女性ほどは、そんなに興味がないからなあ…。
――結婚というもの自体への関心は現在どうですか?
結婚は…今あまりイメージがないかなあ…。どうなんですかね?仕事が楽しいので、生活がガラリと変わるようなことがないといいな、と思っています。自分の生活リズムみたいなものがありますし。……そういうことを言っているやつは結婚できないと思うんですけど(笑)。だからあまり向いてないのかな、とは思っていますけどね。
でも、子どもができてお父さんになった瞬間に、人生の優先順位みたいなものも変わるらしいんですよね。「守るものができて」ということなのかな?なってみないとわからないですけど。正直、今は、結婚はあまり大事だとは思っていないから、薄っぺらいコメントになってしまいます(苦笑)。
「正直めちゃ忙しかった」2021年から2022年へ 今年の意気込みを語る
――去年の今頃は主演作『名も無き世界のエンドロール』が公開されて、あれから1年が経ちました。2021年を振り返って、どういう感想になりますか?
ああ、そうか…!去年、正直めちゃ忙しかった。すげー忙しかった…という思い出しかないです(笑)。
――忙しい中でも特に記憶に残っていることは何ですか?
もう、作品だらけでした。撮影ばっかりしていましたね。アーティストのことで言うと、ライブではようやくお客さんを入れてできるようになりましたし、個人では去年ソロイベントもあったので、新しいことも始められた年でした。本当にあっという間の1年でしたね。…今、『名も無き』公開から1年と聞いて、「ああ、そうなんだ、もっと全然前に感じるなあ」と思ったんですよね。
――今年前半は、撮影していた作品の公開が次々と控えていて、グループの活動もあり、また活躍の年になりそうです。昨年行われたソロイベントは今後も活発になりそうですが、今年の意気込みに変えて最後にお話ください。
去年行った初のファンミーティングは、デビュー日以来と言っていいほど緊張しました。すごく成長した1日になった感じが、自分の中ではあったんです。「何万回リハをやるよりも、やっぱり1回の本番だ」と思わされるような印象で。自分のキャリアにとっては、やったことのないことへの挑戦だったので、それはすごく刺激的でした。
今年はその経験も踏まえて、第2弾じゃないけれども、より楽しんでもらえるもの・よりグレードアップしたものを提示しないと、という思いで取り組んでいます。僕のファンの方に贈る言葉としては、去年やったファンミーティングを全国で計画したいなとは思っているので、楽しみにしていてください!
映画『ウェディング・ハイ』は3月12日(土)より公開。
取材、文:赤山恭子、写真:藤木裕之
映画『ウェディング・ハイ』
結婚式、それは新郎新婦にとって人生最大のイベント!お茶目だけど根は真面目な石川彰人(中村倫也)といつも明るい新田遥(関水渚)のカップルも、担当ウェディング・プランナーの中越(篠原涼子)に支えられながら準備を済ませ、ようやく式当日を迎えていた。しかし…結婚式に人生を賭けていたのは2人だけじゃなかった⁉新郎新婦の紹介VTRや主賓挨拶、乾杯の発声など、結婚式お決まりの演目に並々ならぬ情熱を注ぐ参列者たち。熱すぎる思いが暴走し、式は思わぬ方向へ。中越は新郎新婦のSOSを受け、披露宴スタッフと力を合わせ様々な問題を解決しようと奔走する。しかし、更に式場に遥の元カレや、招かれざる闖入者も現れて⁉
果たして絶対に「NO」と言わない敏腕ウェディング・プランナーは、全ての難題を解決し、最高の結婚式を2人に贈ることが出来るのか?
<キャスト>
篠原涼子
中村倫也 関水渚 / 岩田剛典
中尾明慶 浅利陽介 前野朋哉 泉澤祐希 佐藤晴美 宮尾俊太郎 六角精児 尾美としのり 池田鉄洋 臼田あさ美 片桐はいり 皆川猿時 向井理 高橋克実
<スタッフ>
脚本:バカリズム 監督:大九明子