これぞ闘将というような戦いぶりと言葉が、ファンの胸に刺さりまくった。「第1回ABEMA師弟トーナメント」の決勝戦、チーム鈴木とチーム畠山の対戦が3月5日に放送された。チーム畠山の畠山鎮八段（52）は3局に登場し、優勝がかかる最終第5局での勝利を含めて2勝1敗と活躍。愛弟子・斎藤慎太郎八段（28）と、歓喜の初代No.1師弟に輝いた。予選から準決勝まで、斎藤八段が無傷の6連勝と大活躍だったこともあり、畠山八段は師匠としての意地を見せようと奮闘。勝利した第2局、第5局ではいずれも敗北寸前のところからの逆転勝ちでファンを感動させたが、対局の合間に発した言葉でもファンの共感を集めることになった。
畠山八段は将棋界屈指の熱血漢として知られ、奨励会幹事を務めていたころには、現在プロでも活躍する30歳前後の棋士たちが、プロを目指していたところを叱咤激励してきた“鬼幹事”でもあった。この大会では斎藤八段と久々に時間をともにしたこともあってか、酒を飲み交わしながら、ユーモア溢れる部分も見せ、ファンの笑いを誘ったこともあった。
ただ、戦いの場ではまさに燃える男だった。第1局、チーム鈴木の梶浦宏孝七段（26）に完敗すると、続く第2局でも連投を志願。「本来なら順位戦A級の斎藤君が行くべきなんでしょうけど、師弟トーナメントを作っていただいたからには、師匠が戦わないとダメ」と気持ちを奮い立たせると、同じ師匠で予選から無傷の6連勝と絶好調だった鈴木大介九段（47）に、最終盤でぎりぎりに追い詰められたところから大逆転勝利。自玉が「打ち歩詰め」で詰まないという紙一重の一局をものにすると、視聴者も「すげえ」「奇跡が！」と大盛り上がりになった。
さらに男を見せたのが、決定局となった第5局。対局前のインタビューでは「うちのチームは弟子がトップクラス。弟子だけ、いつも決定局に出していたんじゃ『もう若い弟子だけで個人戦やれよ』と言われかねません」とコメント。予選2試合に準決勝と、試合を決める一局を全て斎藤八段が勝利していたことを思い出し、この決勝だけは師匠が戦うべきだと力強く語った。周囲は斎藤八段と梶浦七段の弟子対決を予想していただけに「これは熱い展開」」「うおーーー！熱い！」と驚きの声が大量に寄せられたが、結果は第2局を超えるほどの最終盤での大逆転勝利。対局後には涙も見せた。
超早指し戦でもなければ生じないような大逆転での2勝もあったが、節目で畠山八段が口にする熱い言葉に、感動するファンが続出。「映画かよ」「師匠すげえ」「こんなん泣いちゃうよ」とコメントが止まらなかった。
◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
