「何のメリットもない」在日ロシア人から見たウクライナ侵攻 不透明な“プーチン支持率”
【映像】ロシアで「侵攻」「戦争」と表現したメディアが次々と閉鎖
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 ロシアがウクライナに侵攻を始めて1週間が経った。アメリカ国防総省は、ロシア軍がこれまでに500発以上のミサイルをウクライナに発射したとの見方を示している。

 攻撃の激化が懸念される中、ウクライナ侵攻を進めるプーチン政権をロシア人はどのように見ているのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、日本で暮らすロシア人と共に議論を行った。

【映像】約70%が「支持する」も…実際は? プーチン大統領の“支持率”推移(図あり)※5:10ごろ

 ロシア生まれ兵庫育ちのタレント・コラムニストの小原ブラスは「僕自身は、かなり腹が立っている」と怒りをあらわにする。

「僕たちはロシア人だけど、海外に住むロシア人として、日本との間の溝が少しでも埋まる活動をずっとしてきた。プーチン大統領はそれを阻害するようなことしかやらない。今まではある程度、我慢していた。これはもうその我慢を逸脱するレベルだと感じる。(プーチン大統領の行動は)僕たちへの裏切りでもあるし、今のロシアの国民にとっても何のメリットもないことだ。ロシア人もウクライナ人も死んでいるし、何もメリットがない。仮にこれでロシアが制圧したとしても、その後、私たちが世界でどう見られるのか、どうやって生きていくのか。そう考えたとき、プーチン大統領はずっと『誇り高きロシアを復活させる』と言っているが、今起きていることは逆だ。私たちは、ますますロシア人であることを恥じてしまうような状態になっている。それが僕は許せない。僕は、プーチン大統領はロシアを守っているのでなく、破壊していると思っている。我慢できない」

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 小原が、こうはっきりと言い切れるのは、日本にいるからだという。

「僕はロシアに帰ったら捕まるのではないかと思っている。でも、国内に向けて発信ができる人、まずは外にいるロシア人から声をあげていかないと、始まらないと思っている。日本国内に住んでいるロシア人でも、一部にはまだプーチン大統領を信じている人はいる。一方で、声を上げたくても上げられない人もいる。僕はロシア語の言葉を聞いたり、話したりできるが、残念ながら文字を書くレベルではない。でも、それができるロシア人は日本にいっぱいいる。ロシアに向けて発信する勇気を持ってほしい」

 来日して約10年経つというロシア生まれのYouTuber・あしやも「YouTubeでよりロシアのことを知ってもらえるように、ロシア人のイメージをちょっとでも良くするために、自分で考えて発信してきた」という。しかし、ロシアのウクライナ侵攻が始まったことで「誹謗中傷や批判のコメントがチャンネルにたくさん届いている」と告白。「『ロシア人だからロシアの政府を支持している』と思われたり、『ロシア人だからあなたが悪い』と言われたりするので、心が痛くなる。『そうではないんだよ』という声を強く伝えたい」と訴えた。

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 ロシア生まれで、現在は淡路島で日本人の夫と「ロシアンキッチンカー・イリーナ」を営む太田イリーナさんも「みなさんがおっしゃっている通り、私も同じ意見だ」と述べる。

「つらいというか、やはり今はしんどい。嫌がらせの心配もあるし、ウクライナ人もいっぱい心配している。日本の中のロシア人も、意見が半々に分かれている。これからどうなるか怖い。Facebookを開くと、本当に明らかな戦争になっている。みんな意見が分かれていて、これからが本当に心配」

 ロシアの独立系世論調査機関「レバダ・センター」は先月行った調査で、プーチン大統領は国民から7割近い支持率を得ていると報道。一方で選挙不正といった話もあり、情報が錯綜している。番組では、ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏が「反プーチンの人が、例えばプーチン以外の野党に投票した場合、何か困ったことが起きるのだろうか」とゲストに質問した。

 小原は「プーチン大統領じゃない人に投票しようとすると、投票しようと思った候補者が死んでしまったり、逮捕されてしまったりする。投票したい候補者がいない状態になる。プーチン大統領をどのくらいの人が支持しているのか、正直分からない。地域によっても違う」と回答。「今ウクライナの近くの地域では、どんどん予備役兵に『徴兵するので準備をするように』という手紙が来ている。一方で、でも極東に住んでいる地域ではその手紙が来なかったりする。極東地域に関しては、僕は割とプーチン大統領の支持が多いと思っていて、プーチン大統領は国民をなるべく刺激しないように、支持率が低いところから順番に戦争に送り込むような方法をとっているんじゃないかな」と推測した。

 その上で、小原は「昨年末、下院選挙があったが、ものすごいパーセンテージでインターネット投票が増えた。その時、インターネット投票をやれば車が当たるとか、マンションが当たるとかそういうのもあった。第三の機関が調査したときには全然プーチンの票は少なかったのに、いざインターネット投票の蓋を開けたらプーチン支持が圧倒的に多いという結果が出た。そのネットの窓口が不正だったのではないかと言われていたりするので、どれくらいの人が実際支持しているのか、本当に分からない」とコメント。

 あしやは「自分の周りには支持する友達はそもそもいない。逆に、いたらちょっと友達じゃないというふうにも感じる。今は、若い人たちはSNSから情報を得たりとか、プロパガンダを信じない人の方が圧倒的に多いと思う」と述べた。また、選挙について、あしやは「そもそも、選挙に出ることができない。ナワリヌイ氏などは、選挙の意思を表明してから、毒殺されそうになった。たぶん、他のヨーロッパや日本でいう選挙(とは違い)、ロシアの選挙は形だけ、名前だけみたいなものでもあると思う。この前、支持を集めそうな人が出てきた。その人は選挙でたくさん支持されるんだろうなと予測がついたが、その人の家族が急に逮捕されたり、突然何か疑惑が浮上したりとかで、その人含め家族みんながロシアから出ていった」と説明した。

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 ここでひろゆき氏は「前回の選挙でも、3割の票は野党が取っている。プーチン政権も議席数自体は減っていると思う。選挙自体が全然機能しないと言っているのであれば、そもそも野党の議員なんていないはずだし、野党が伸びているのであれば、ある程度、自由な投票がロシア国内で行われている気がするのだが、そのあたりはどうだろうか」と疑問。

 ロシア国営メディア『スプートニク』の記者は「私はあまり与党と野党と分けて考えたことはない。なぜかというと、そのいわゆる野党というのが体制内野党だと思う」と回答。「結局、いろいろと全会一致で決まっているので、野党というのは野党っぽいんだけど野党ではない。みんなそう思っているのではないだろうか。いろいろな新党が現れては消えるが、そういう党が存続し、大きな力を持ち続けることはなくて、ポッと出がポンポンポンと出てくるような感じだ」と見解を述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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