ロシアによるウクライナ侵攻が激しさを増す中、在日ウクライナ大使館が義勇兵を募集。20~60代の日本人約70人が志願し、その多くが元自衛官とされたことも話題を呼んだ。一連の流れを受け、林外務大臣は「日本外務省としてはウクライナ全土に退避勧告を出している」などと発言。現在、ウクライナ大使館のフェイスブックにおける投稿は削除されている。
そんな中、在日ウクライナ人兄弟がYouTubeに投稿した動画が話題を呼ぶ一方、「早く義勇兵になって死ね」「お前の父親早く戦死しろ」など心無い誹謗中傷が相次いで寄せられている。兄弟はそのことを受け「一刻も早く対策を」と悲痛な思いを明かした。
サワヤン兄弟は自らの「SAWAYAN CHANNEL/サワヤンチャンネル」にて義勇兵に志願すると発表。「僕らも最後まで戦い続ける。どんな形であろうと僕らにできることを最後まで全力でやり続ける」などと志願の理由を明かしていた。この動画は投稿後24時間で120万回以上再生された。兄のサワさんは4歳までウクライナで育ち、父親の仕事の関係で来日。弟のヤンさんは日本生まれ。父や叔父の家族は現在、キエフにいるという。
6日、ABEMA『ABEMA的ニュースショー』に兄弟で出演し、義勇兵参加を決意した理由を改めて問われたサワさんは「日本では侍というものがいた。ウクライナには『コサック』がいる。コサック魂ではないが、常に少人数でも負けないという強い戦士だった。母国のためにいつでも行く準備はできているし、必要であればいつでも行くんだぞ、という意思表示をしたかった」と答えた。
キエフにいる父親とは毎日連絡を取っているというサワさん。義勇兵への志願について、「さすが俺の息子だ、みたいな感じでした」と父親の反応を語ったが、弟のヤンさんによると、母親の反応は「絶対に行かせない」と父とは異なるものだった。
その他、サワヤン兄弟によると、今回の件で憤りを感じていることがあるという。それが戦争に関する誹謗中傷だ。
「僕の場合ですけど…『お前の父親早く戦死しろ』とか『お前も早く義勇兵になって死ね』とか。信じられないような言葉が飛んでくる」
残念そうな表情を浮かべたサワさんは「ロシア人の方にも、僕とは違う視点での本当に傷つくような言葉が投げかけられていると思う。国を問わず、戦争がベースとなった誹謗中傷は許されないことだと思っている。一刻も早く対策を施して欲しいと率直に思う。20年後、30年後にまたもどってきたらいいじゃないかと。戦争が落ち着いたらまた戻ってきたらいいじゃないかというピースフルな意見を述べていた方もいたが、戻れるわけない。じゃあもう、戦うしかないよねっていう話です」と母国が置かれた苦しい状況についても切実に訴えかけた。
こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、「ウクライナは外国人義勇兵をすでに迎えている。まず世界の1万6000人が我々のため、そして皆のために自由と声明を守るべく往路の途上にある」などとする演説を自身のフェイスブックに投稿。外国人義勇兵の第一陣に加えて各国からの武器支援が続々届いていることを明かしている。
ゼレンスキー大統領が義勇兵に関してSNSを通して情報発信したことについて、Buzz Feed Japanの籏智広太記者は「無関係の国からも直接足を運んでくる人たちがいるんだよということを可視化して伝えることで、自分たちが世界の支援を集めている側なんだということをPRする戦略の一環になっている。そのことを自覚したうえで接していかなければならない」と指摘した。
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