キャンプブームに乗って購入も後悔する若者…50万円で1000坪以上の物件もある「山」、それでも気軽に手を出してはいけないワケ
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 「爺ちゃんからもらった」「田舎だったら、あるある」「固定資産税大変そう…」親族からの贈与・相続によって所有するケースもある山林。

【映像】実は"負動産"!?ブームの裏側に所有リスクも

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 最近では空前のキャンプブームと相まって、自ら所有しようとする若い人が増え、物件情報を提供したり、売買を斡旋したりする専門のサービスも登場。「山いちば」社長の比賀真吾氏は「サイトのアクセスはコロナ前に比べて約2.5倍。売上は約1.8倍だ」と話す。「うちの会社で最も安かった山林物件は50万円台と、車よりも安い。それでも広さは1000〜1500坪だ。会社員や主婦の方で、キャンプ目的に買ったという投稿も散見される」。

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 祖父から受け継いだ5つの山林を所有する大学生のきのこさんは「ちょっと子どもっぽいが、秘密基地を作りたいなと思っていて」と楽しげだ。

 また、島根県で“東京ドーム4つ分”、それでも価格は“軽トラ1台分”だったという山林を入手、ひとり手入れに励む勇者ハマーダさんは「ドラゴンクエストのようなRPGの世界観が大好きで。住む場所もファンタジーじゃないとなって思って、同じ感覚を持っている人と一緒に生きていけたらなと。村作りだ」と笑顔を見せる。

■結局、固定資産税を払うだけ…

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 一方、後悔を口にする人もいる。“直火禁止”など、キャンプ場のルールが窮屈だと感じ、サイトを通じて山林を購入した会社員のもずくさんの場合、豪雨災害による倒木などで現地にたどり着けなくなってしまったり、草刈り作業が追いつかなかったりと、思うようなキャンプ生活を楽しむことができなかったという。頭を悩ませたのは、それだけではない。

 「“ご近所トラブル”と言えばいいのか、隣の土地にスズメバチの巣があった。業者を呼んで勝手に駆除することもできないし、役場に言っても“個人の所有地なので”と言われてしまった」。

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 現地に行くまでの大変さ、管理の大変さ、そして山火事の懸念…「やっぱり手放したい」という思いもあるが、自分を困らせた様々な問題点を伝えずに売却することにも罪悪感をいだき、何もできずにいるという。山林からさらに遠くに引っ越してしまった今、何もせず、ただ年に1万5000円程度の固定資産税を払うだけだ。

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 また、太陽光発電事業にも携わる元経産官僚の宇佐美典也氏は、「林業を営むことも難しくなってきていて、気候変動による大雨での土砂崩れのリスクもあると思う」と、山林を扱う難しさを指摘する。

■昔は財産、今は“負動産”

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 森林ジャーナリストの田中淳夫氏は「もずくさんは優しい方だ。普通は黙って売ってしまうと思うが、それも難しそうなので、できれば売ってくれた方にもう一回お任せするくらいの感じだろう」と苦笑する。

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 「かつて山は“財産”だったが、今は“負動産”になってしまった。確かにバブル崩壊前までは価値もあったし、木材に値が付けばということもあったが、今はほとんど財産にならない。そこに管理費が加われば、むしろ赤字だ。それでもキャンプなどで楽しめればいいが、それができないのであれば、やはり“負動産”だろう。ブームだから、小遣いで買えるくらい安いからと安易な気持ちだと、痛い目に遭ってしまう。

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 まず、管理責任がある。仮に崩れて近隣に被害を及ぼしたとなれば責任問題になる。あるいは不法投棄をされてしまうこともある。あるいはもずくさんのように、最初は草刈りで1日が終わってしまうこともある(笑)。実は私も親戚から600〜〜700坪の山林を譲渡してもらったが、初めの2、3年はアウトドア感覚で楽しかったものの、段々、飽きてきた(笑)。最近になって、もう一度デッキを築こうとか遊歩道を作ろうとか、そういうことも考えるようになったので、やはり何十年間も使うという覚悟を持たないとダメだ」。

■“所有者不明”が増え続ける現実も

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 多拠点生活を送るジャーナリストの佐々木俊尚氏は「地方の空き家問題と構図は同じだ。結局、完全に“ババ抜き”のように家屋を押し付け合っている。東京にいると想像がつかないかもしれないが、それが田舎の土地・建物の実態だ。さらに山林になると水道も引かなければならないし、下手をすると近くまで道路が来ていないこともある」と話す。

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 「そして今日の話を聞いていて思い出したのは、1970年代に流行った“原野商法”だ。インフラの整っていないような土地を“これからリゾート地になるから”と言って騙す詐欺事件がいっぱいあった。今のブームは犯罪ではないけれど、土地に価値があるというのは幻想なので早く忘れた方がいい(笑)。

 一方で、日本は土地の6割を山が占めている。つまり、ほとんどが森と山で、山登りに行くと、登山道から一歩外れるとどこにも進めないくらい木が生い茂っている。そういう中で、山林の所有者が誰なのか把握できない事態が進行している。目印だった岩などが自然災害で動いてしまって境界線が分からなくなったり、誰が相続しているのかがはっきりしなかったり。逆に所有権があったとしても、価値がない。こんな状況が放置されている日本の山林はどうなるのだろうか」。

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 田中氏は「正直、どうにもならないだろう。相続を考えると、子どもの代、孫の代と、数十人に分かれていくので、例えば元の土地が50坪で、子孫が100人いたとするともう誰も手を付けられない。だから未だに明治時代の名義のままの山が全国にいっぱいある。雑木林の場合はそもそも価値がないし、そこに杉や檜を植えて50〜60年育てたとしても、切って出すためのコストがかかるので、出せば出すほど赤字だ。逆に言えば、だからこそそういう山を売りつけるということになっている」と嘆いていた。(『ABEMA Prime』より)

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