組織の長にして、最も斬新。それが日本将棋連盟会長・佐藤康光九段(52)だ。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」には、3大会連続でリーダーとして参戦する。過去2大会は森内俊之九段(51)、谷川浩司九段(59)とレジェンド3人組で戦い、新旧の将棋ファンを大いに楽しませた。「2人と交流できたことは自分にとって財産でした」と本人も楽しんだ大会だったが、さらなる刺激を求める貪欲さは、独特の指し回しを見せる棋風同様。「将棋界は才能豊かな集団。いろいろな人材がいる」とドラフト会議を前に、サプライズ指名をにおわせた。
2年間戦ったレジェンドチームは、ファンが望むことをそのまま実現する、まさにエンターテイナーらしい指名によって生まれた。全員が永世称号の有資格者というチームで運営したTwitterのアカウントは好評で、また書籍化までされた。「反響も大きかったですし、自分の場合は役員をやっていて棋士との交流が限られていた。その中でこういう機会をいただけて、先輩と同期生に多くの刺激をいただきました」と、多忙な日々の中でも新たな発見がいくつもあった。
迎えた3年目。将棋界の発展のために、新たな発想を取り入れる会長らしく、同じことをそう何度も繰り返しはしない。まだこの大会でスポットライトを浴びていない才能にも、この舞台で活躍し、さらなる飛躍を遂げてほしいという思いがある。「いろいろな人材がいます。そういう人も選べたらと思っています」と、頭の中に描く人物がいる。これまでのチームをややアレンジするのか、それとも一新するのか。「1秒間に1億と3手読む棋士」と呼ばれるだけに、指名によるチームの組み合わせも大量に考えているだろう。
公式戦では、会長職の激務をこなしつつタイトル挑戦に迫るなど、棋士としても好調な佐藤九段。もちろん将棋界の発展は命題だが、この大会を一番満喫しているのはこの男かもしれない。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)