26日に開催された、ONE Championshipの10周年記念大会『ONE X』(シンガポール・インドアスタジアム)。タイトルマッチ5試合を含む豪華ガードの中で組まれた青木真也vs秋山成勲のライト級マッチは、秋山が青木真也を衝撃TKOで下した。
両者のストーリーは、DREAM時代に青木が秋山に対戦要求したことから始まる。当時は階級が違ったが、UFCを経て秋山がONEと契約。ライト級でも試合をするとしたことから流れが変わった。
青木は再び秋山に対戦を求める。実際、昨年秋に対戦のオファーがあったものの、秋山はケガで断っている。これに怒った青木が、試合後に解説席の秋山に「なんで断ったんだよ! 嘘つくんじゃねえよ!」と詰めたことも。
試合が決まらなかったことで、青木は「絶望」を感じたという。秋山とは「もう関わりたくない」とも。だが再度のオファーは秋山が受諾。青木は「仕事だから」と試合に臨むことに。
対戦が決まると、事前インタビューでは厳しい言葉を投げ合う。青木が「忌み嫌ってる」と言えば、秋山も「一周回っても嫌い」。主催する側も、この試合が「グラッジマッチ」だと分かっているとONEのチャトリ・シットヨートンCEOは語っている。
大会前日の計量では「水抜き」なしで77.1kgのリミットを両者クリア。秋山は13kgもの減量に成功している。無理なく計量をクリアした青木に対し、体格差、コンディションの違いがどう出るかも重要な闘いだった。
海外からの映像でも凄まじい緊張感が漂う中、両者がケージで向かい合う。青木のセコンドには北岡悟。もともとの階級が違うだけに、試合当日になるとサイズの差も目立つ。
試合開始直後、青木は組み付くことに成功。シングルレッグのタックルからスタンドどバックを奪い、しっかり4の字フックしてチョークを狙う。ディフェンスする秋山に青木はパンチ、ヒジ。1ラウンドは青木優位となった。
だが2ラウンド、秋山はタックルを切り、パンチで圧力をかける。金網に押し込むと右ストレート、さらに組んでのアッパーを連打。動きが止まった青木は座り込む形に。そこにヒザ、そしてノンストップのパンチ連打。レフェリーが試合を止めたタイムは2ラウンド1分50秒。大逆転、大爆発の秋山勝利だった。
勝った瞬間、咆哮しながら倒れ込んだ秋山。恩讐を超える見事な決着だった。
「途中で負けそうになりましたけど、みんなが“セクシーヤマ”と(声援で)言ってくれたので力が出ました。2ラウンドが始まる時、青木選手の顔を見たら一瞬、目が引いたので。ここでいかなきゃ負けると思っていきました」
そして今後については「もっとセクシーな試合をします」。最後は“秋山劇場”と言ってよかった。控室に戻ると「これからが始まり」とも。46歳にして、秋山は怪物ぶりを見せつけた。