26日に開催された、ONE Championshipの10周年記念大会『ONE X』(シンガポール・インドアスタジアム)。14年越しの因縁マッチとして注目を集めた青木真也(38)vs秋山成勲(46)のライト級マッチは2ラウンド、秋山が青木を衝撃TKOで下す劇的な幕切れとなった。
秋山の歓喜とは対照的に意気消沈した青木が、激闘の会場を後にし、ホテルへと向かう車中でABEMAの取材に応じた。
「皆に助けてもらった結果がこれか…情けねぇなぁ」
そのように漏らした青木は、しばし目を閉じると、流れ出る涙をこらえることができなかった。
「結局 偉そうなこと言ってこれだからね」
その後も涙は止まらず、周囲の励ましに言葉を返すことができない青木。タオルで涙を拭ってもらうと「情けねぇな」と再びつぶやいた。
再度、長い沈黙の後、青木は絞り出すように「どうしよっかな…どうしよっかな ほんと」と言葉を発する。
「もう やりたくないよね」とも話した青木は、車窓から流れる景色に目をやると「いつ辞めるって言っても、誰も止めないよ。いつ辞めるって言っても誰も止めないし。誰も…みんな褒めてくれるよ。金もある。飯食ってく分くらいは稼げる」と続けると、一つため息をつき、ようやくかすかな笑顔を見せた。
「精一杯やったんだよ。(しばらく考えて)器じゃなかったってのが悔しいな」
かすかな笑顔は再びクシャクシャな泣き顔に変わっていく。
「ずっと頑張ってきたよ。ずっと頑張ってきたけど、結局最後、敵わないじゃん。結局さぁ、那須川にも武尊にもなれないんだよ。もうね、もう…」
ここで車がホテルに着いた。車から降りた青木は一度振り返り、無言のままホテルの中に入って行った。今後のことは、本人のみぞ知るところだ。青木は常にする「ストーリー」という言葉を口にする。今回は「負け」という結果だったが、これもまた、新しいストーリーの始まりに過ぎないかもしれない。