同姓の若手棋士に光るものを見つけた。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送されリーダー棋士の一人、渡辺明名人(棋王、37)は1巡目に3大会連続で同門の弟弟子、近藤誠也七段(25)を指名、2巡目には渡辺和史五段(27)を抜擢した。絶大な信頼を置く近藤七段は予想範囲内だが、渡辺五段については「先物買いですね」とニヤリ。「今年飛躍するんじゃないかと」と、将来性を見込んでの指名となった。
団体戦1年目となった第3回大会は、所司一門で固めて準優勝。第4回大会は仲のいい戸辺誠七段(35)を加えてベスト8まで勝ち進んだ。今年も「十分に戦えるメンバーになったかなと思います」と手応えがあるとし、近藤七段の3年連続指名については「上を目指すなら欠かせない。ただやるだけなら、誰でもいいんだけど(笑)」と、思ったままを言葉にした。
2巡目は、1巡目でも名前が挙がりそうな佐々木勇気七段(27)がまだ指名されていなかったこともあり「残っているなら参加しようと。それで外しても、本来の2巡目から選べる人を選ぶ」と、ダメでもともとの気分で名前を書いた。惜しくも抽選では外れたものの、最初のプラン通り、渡辺五段の指名には成功した。「和史君とは練習将棋を指す機会があって、その時の出来がよかったから(笑)。序盤戦術の理解度が非常に高いという印象。間違いなく高いので、持ち時間の短い将棋でも先手が取りやすいというか、自分の土俵で戦いやすい。そういうところに期待しています」。若手にとっては、練習対局の一局がこの指名につながるのだから、どこにチャンスが転がっているかわからない。
過去の2年と比較しても、いろいろなサプライズ指名が飛び交った今回のドラフト会議。抽選にも参加し、存分に楽しんだ渡辺名人だからこそ、この先も勝ちながら楽しむつもりだ。「個人としては去年、ベスト8で負けているので、目標はそれ以上ですかね。これから上を目指す若手の人たちと一緒なので、やる気のある人たちに刺激を受けられたらいいなと思います」と、公式戦に向き合うだけの日々では得られない刺激も求めている。チーム動画でも毎年、大張り切りの渡辺名人。エンターテイナーが今年も大活躍だ。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)