いよいよ10日に迫ったフランスの大統領選挙。2選目を狙うマクロン大統領は、演説でEUとの連携をアピールしている。ウクライナ侵攻前の今年2月、西側諸国の首脳として唯一プーチン大統領との対面会談を実現させたマクロン大統領。会談は5時間にもおよび、以降も十数回にわたり電話会談を行うなど、プーチン大統領との対話路線と独自のパイプを印象付けている。
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そんなマクロン大統領の対抗馬が、極右政党の国民連合党首であるルペン候補だ。大統領選3回目の挑戦となるルペン候補は、演説で「エマニュエル・マクロンにもう一度委任すれば、後戻りできない事態に導かれる」と発言。また、かつてプーチン大統領と会談した際は、クリミア併合問題などでEUがロシアに科した経済制裁に対し「バカげている」とコメント。プーチン大統領に寄り添う発言をした。
フランスの大統領選挙は、1回目の投票で過半数に届く候補者がいなければ上位2人による決選投票になるが、情勢はマクロン大統領をルペン候補が猛追、事実上の一騎打ちになっている。果たしてこの選挙結果は、ウクライナ侵攻を続けるロシアにどのような影響を与えるのか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、専門家と共に考えた。
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「ウクライナ侵攻は、このまま放っておくと5年〜10年は、ドンバス地区でやり続けてしまう。日本人的な感覚だと理解しづらいが、どこかでロシアに“お土産”を持って帰ってもらわなければならない」とコメント。「ある程度、ロシアの中ではそれなりに成果があったから『じゃあここを落としどころにしよう』と。そういう交渉を誰かがプーチン大統領にしなきゃいけない。それを西側で唯一交渉できるのがマクロン大統領だ。ウクライナの死者をどれだけ減らすかで考えると、マクロン大統領が頑張ったほうがいいんじゃないかなと思う」と述べた。
帝京大学経済学部国際経済学科教授でフランス海外学士院会員のフランク・ミシュラン氏は「フランスの伝統的に、現職の大統領は次の選挙で負けることが非常に多い」と話す。
ミシュラン氏は「(一騎打ちの展開に)大勢のフランス人はビックリしていると思う」とした上で「ルペン候補のイメージ変更というか、打ち出す政策の中身が変わってきて、普通の人に見えてきたかなと思う。ただ、世論調査は、イギリスのEU離脱も予測できなかった。今回の選挙もこれからどうなるか本当に分からない」と説明した。
実際にフランスに移住したひろゆき氏も「フランスにはいろいろな意見を持っている人がいて『話していても全然意味ないじゃん』と言う人もいれば『EUとかNATOの結束を強くしたほうがいいよね』という人もいる。聞く人によって全然答えが違う」とコメント。「日本人はわりと、みんながみんな大多数のマジョリティの意見というのがあるが、フランスは思い思いに好きなことを言うので、本当によく分からない。要は投票してみないと本当に分からない。これがフランスっぽいなと思っている」とミシュラン氏の見解に同意した。
候補者12人のうち、誰も過半数に届かない場合、上位2名で決選投票が行われる。前回、決選投票に進んだものの33.9%でマクロン大統領に敗れたルペン候補。マクロン大統領に勝利する展開はあり得るのだろうか。
ひろゆき氏は「マクロン大統領とルペン候補が拮抗しているように見えるが、決選投票になるのはほぼ確実だろう。決選投票で、マクロン大統領とルペン候補、どちらがまともか考えると、熱狂的なルペン候補のファンは第1次投票では確かに23%だが、それ以外の70%の人は『ルペン候補に比べたらまだマクロン大統領の方がマシでしょ』と。決選投票まで行ったらマクロン大統領が勝つのではないか」との見方を示した。
一方で、ミシュラン氏は「かなり変わったのは、極左のメランション候補の支持者だ」と話す。「以前、メランション候補はルペン候補とかなりぶつかって、反ルペンというイメージがあった。しかし、今回は少なくともメランション候補の支持者の40%~50%がルペン候補に入れる可能性が高い。以前より少し難しい選挙になるかもしれない」と語った。
また、ロシア生まれ兵庫育ちのタレント・コラムニストの小原ブラスは「ロシアはフランスに対して、特別な感情を持っていると言われている。例えばロシア文学は、元々を辿っていくとフランス文学への憧れも見える。そういう意味では他の国の首脳よりもフランスのトップがプーチン大統領と話していることは、盛んに報道されやすい。ある程度、国民感情に対しては効果があると見込んでいると思う」と指摘。ミシュラン氏に対し「フランスが極右側の政党であれば、NATOやEUと対峙するプーチン大統領にとってメリットになるのか」と質問した。
ミシュラン氏は「プーチン大統領はウクライナ侵攻で十分な利益、やりたいことがちゃんとできた後、交渉して戦争をやめるなら、マクロン大統領の方がいい。マクロン大統領ならうまくアメリカやEUをまとめることができる」と回答。「だが、プーチン大統領の長期間の目的はEUの破壊だ。その意味ではフランスが反EU主義の政権であった方がいいが、短期的にはマクロン大統領が残った方がいい」と述べた。
日曜日に行われるフランス大統領選挙。各国でロシアへの制裁が続く中、今後フランスがどのような動きに出るのか。選挙の結果に世界中が注目している。(「ABEMA Prime」より)
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