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 4月13日午後1時より、来たる29&30日のプロレスリング・ノア両国国技館2連戦に向けての調印式及び記者会見が行われ、各大会に出場する主要選手たちの舌戦、心理戦が展開された。

 ジュニア主体のブランド『N Innovation』として開催される29日大会では、小川良成率いるSTINGERのメンバーだったイギリスのクリス・リッジウェイが2年ぶりに小川と合体してGHCジュニア・ヘビー級タッグ王座に挑戦。ノア・マットで驚愕の空中戦を披露していたメキシコのドラゴン・ベインとアルファ・ウルフ(当時はイホ・デ・カニスルプス)が飛来して初参戦のアメリカの空中戦士ニンジャ・マックを加えて3WAYマッチが決定。さらに2010年の『ジュニア・ヘビー級タッグリーグ戦』に来日したエクストリーム・タイガーが吉岡世起と一騎打ち、かつて新日本プロレスに来日していたテハノJr.がペロス軍と合流するなど、国際色豊かなジュニアの祭典になる。

 会見のトップで登場した原田大輔は『N Innovation』を牽引する立場として「今回、世界各国から懐かしい選手とか、所縁のある選手が出てくれます。オリンピックのように世界に響く大会にしてみせます」と胸を張った。また、ノア・ジュニア正規軍としてアレハンドロ、宮脇純太とのトリオでドラゴンゲートのヒールユニット、Z-Bratsのシュン・スカイウォーカー、H・Y・O、SB KENToを迎え撃つ立場としては「ノア・ジュニアの凄さを彼らに見せつける。ノア・ジュニアの凄さを、ノアの中で戦うことももちろんそうなんですけど、vs他団体でもしっかり見せていきたい」とプライドを覗かせて戦闘モード。3・23後楽園で奇襲された時にはシュンの必殺技SSWでKOされ、4・8後楽園では宮脇がH・Y・Oにブラックパンサークラッチで敗れて「予想マイナス100点だったところ、試合してみたらマイナス300点だった」とコキ下ろされているだけに絶対に負けられない一戦なのだ。

 小川&リッジウェイの実力者チームの挑戦を受けるタッグ王者の小峠&YO―HEYは「自分たちらしく、明るく存分に楽しんだ上で両国大会を成功させたい」と声を揃えた。

 遺恨清算マッチとなるのは、仁王と覇王の敗者リングネーム剥奪マッチ。2人は19年12月14日の金剛興行で仁王と覇王に生まれ変わって金剛に合流。金剛のジュニア主力部隊として活動してきた。しかし、今年1・16仙台で覇王が「環境を変えてもっと上を目指す」と金剛を脱退して正規軍入りして抗争に突入し、仁王が「金剛を辞めて、いつまで覇王を名乗ってるんだよ。俺とシングルをやって、負けたら改名しろ。俺が負けたら仁王を捨ててやるよ」と迫ったことで、今回の試合が決定したのである。

 19年12月12日付で2AWを退団し、2日後に「さとうゆうき」を捨ててノアに来た経緯がある覇王は「これまでのすべてを捨てて覇王としてやってきた。絶対に失うわけにはいかない。覇王という名前を守って、これからを戦っていきたい」と悲壮な決意を吐露。一方、Hi69から変身して金剛に身を投じた仁王も「リングネームはプロレスラーにとって一番と言っていいほど大切なもの。29日、どちらか1人のレスラーが終わります。でも、それは俺じゃない。金剛の仁王を守ります。以上です」とキッパリ。これは実に重い一戦だ。

 29日のノア・ジュニアを結集した大会のメインイベントを飾るのは、王者EitaにHAYATAが挑戦するGHCジュニア・ヘビー級選手権。弁が立つEitaに対して、無口で知られるHAYATAは「次のチャンピオンは俺や」と語ったのみ。思わずEitaが「お前、口がついてるんだから喋れよ!」と激怒する場面もあって舌戦は成立しなかったが、昨年6月にドラゴンゲートからノア・ジュニアに進出し、3・13横浜武道館で初挑戦にして原田からGHCジュニアを奪取したEitaと、昨年6月から今年の1月までV8の記録を作り、ジュニアの絶対王者に君臨していたHAYATAの激突は、現在進行形のノア・ジュニアの、まさに頂点のカードと言っていい。 

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 そして30日のヘビー級主体の大会の調印式及び記者会見。この日、新たに発表されたのは王者・船木誠勝に元WWEのサイモン・ゴッチが挑戦するGHCナショナル選手権。あのカール・ゴッチの血縁ではないものの、ゴッチ式パイルドライバー、各種スープレックス、サブミッションを駆使するゴッチと船木の対決は楽しみだ。

 さらにカードが決まっていなかった丸藤正道と清宮海斗は、丸藤&Xvs清宮&稲村愛輝のタッグマッチで激突することになった。丸藤のパートナーのXは、これまでノアに登場したXの中でも有数の大物だとか…。大会当日、誰のテーマ曲が鳴り響くのか?

 さて、記者会見でまず登壇したのはGHCタッグを争う王者チームの杉浦貴&鈴木秀樹と挑戦者チームの拳王&中嶋勝彦。4・8後楽園では鈴木と中嶋が30分時間切れ、4・9後楽園では杉浦がアンクルホールドで拳王に勝つなど、熱い前哨戦が繰り広げられてきただけに、挑戦者の拳王は「おちゃらけたおっさんたちだけど、杉浦貴も鈴木秀樹も強い」と認めつつ「ストップ・ザ・おじさん」を高らかに宣言。これに対して鈴木が「世間的には4人全員がおじさん(最年長=杉浦51歳、最年少=中嶋34歳)だと思うので、あまりそこをアピールしてもしょうがないのかなと」とチクリ。丁々発止のやりとりで会見を終えた。

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 メインイベントでGHCヘビー級戦を戦う王者・藤田和之と挑戦者・潮崎豪の調印式及び会見では、藤田が心理戦を仕掛けた。4・8後楽園における最後の前哨戦の最中、ケンドー・カシンに手渡された缶のハイボールを飲み干すや、王者になって以来の品行方正な真人間から野獣に逆戻りしてしまった藤田だが、登壇すると深々と報道に一礼して再び真人間モード。「お水をいただけませんか? ジョッキでお願いします」と注文し、運ばれてきた水ならぬジョッキ2杯の生ビールをイッキ飲み。コメントを求められると立ち上がって「ホントに何も憶えてないんですが、先日は大変申し訳ございませんでした」と隣の潮崎に頭を下げ、その後は司会者に「コメントの続きを…」「ひとまずお座りいただけませんか?」と促しても、潮崎が「何に対しての謝罪なのか、ちょっとわからないんですけども」「答えづらいですし、座っていただいて」と促しても首を横に振って、頭を下げたまま。それは20年3・19後楽園で潮崎のGHCヘビー級王座に藤田が初挑戦した時の30分の視殺戦を思い起こさせた。

 頭を下げたままの藤田の横で、報道陣の質問に真摯に答える実直な潮崎の姿が逆に気の毒に見えるほどで、テーブルの前に立ってのフォトセッションに移っても、藤田は首をテーブルの後ろで頭を下げたまま。ここでも潮崎が人のよさを見せ、わざわざテーブルの後ろに戻って、頭を下げたままの藤田とポーズを取る潮崎の異様なフォトセッションに。潮崎は頭を下げたままの藤田に一礼して退席した。

 結局、17分間頭を下げたままだった藤田は、潮崎の姿が見えなくなるとイスに座って「すみません、もう一杯、お水いただけますか? ジョッキでお願いします」と注文し、「みなさん、どうもお疲れさまでした。長い会見でしたね。乾杯」と、またもやビールをイッキ飲みしてゲップ。さらにポケットから缶ハイボールを取り出すと、これもイッキ飲みしてゲップ。「じゃあ、30日、両国でまた。よろしく。ありがとう。お疲れ!」と片手を上げて退席していった。

 17分にも及んだ藤田劇場…ある意味で、これほど相手に敬意をみせず、むしろ馬鹿にした会見もないのではないか。自分が退席した後の態度を知った時、潮崎はどう思っただろうか? 時に真人間の皮を被る「アイム・ノア」「アイム・サイバーファイト」の王者・藤田とエメラルド・グリーンをまとった「アイ・アム・ノア」の潮崎の激突は、ただでは済まない!

 29日はABEMA、30日は動画配信サービスWRETLE UNIVERSEで生中継される。ぜひ、未来につながる現在進行形のノアの“美麗なジュニア”と“轟音のヘビー”を体感してほしい。

文/小佐野景浩

NOAH「ABEMA presents MAJESTIC」 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
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WRESTLE UNIVERSE presents MAJESTIC 2022|  WRESTLE UNIVERSE(レッスルユニバース) 
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