東大・京大生がこぞって目指す大手外資系コンサル、今後の役割は企業の“医者”から“占い師”へ?
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 近年、「東大・京大生が選ぶ人気企業ランキング」などの常連となっている大手外資系コンサルティングファーム。「高学歴のハイスペックな人たち」「仕事もプライベートも充実、キラキラ系でモテそう」「めっちゃ激務で過酷なイメージ」「口出すだけなのにめっちゃ金をとられる」といったイメージで語られがちだが、実際のところはどうなのだろうか。

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 長くコンサル業界で働いた経験を持つ青山学院大学教授の松永エリック・匡史教授は「例えばITを導入するプロジェクトがあったとして、普通にやれば2年かかるところ、半年に短縮させるようなケースがある。要はお客様がビジネスチャンス、お金を得やすくするために時間を短縮させるという仕事だ。我々の業界では“高級派遣会社”というような言い方をするが、“お医者さんみたい”、というのが分かりやすい例え方かもしれない」と話す。

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 「特に大手のコンサルティングファームが請け負う仕事はバカでかい。売上高数兆円規模の企業が相手なら、“売上が数千万円出ました”というレベルでは駄目で“20%成長”のような、非常にダイナミックな成果を求められる。ただし、我々は数字にはコミットしない。プロのコンサルタントとして、嘘は言ってはいけないし、可能性のないものはないと言わなければならない。僕も20年間やっていて、一度も数字にコミットしたことはなく、“この数字を達成する可能性がある”と説明していた。

 もう一つ誤解があると思うのは、プロジェクトに対して報酬が支払われるのは最後にお客様が検収を行ってからだということだ。つまり完結させられなければお金はもらえない。これが結構なプレッシャーになる。だから契約が取れたからOKだということにはならないし、大手のコンサルティングファームになればなるほど、お客様も厳しい。正直言って、“いや、そこまでは言われてなかったんだけどな”というところまで目標を積み上げられたりもする。さらに言えば、日本に比べて海外の企業はこうしたコンサルティング会社を雇うカルチャーがあるが、そういう中では何かあった時に“あそこのせいだ”と言うために入れられ、“スケープゴート”にされることも少なくない」。

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 問題解決能力だけではなく、人間性も求められるのだという。

 「本に書いてあることだけで済まず、薬を出したり、手術をしたりすることもある。そのためには皆さんが思っている以上にお客様の中に入り込む。僕もほとんど会社にいたことがなく、ずっと客先にいた。そのくらい、クライアント企業の“社員”になって働く。基本的には嫌われる仕事だし、入った時から“なんだこいつ”という顔で見られるのが当たり前だ。また、多くはピラミッド型のレイヤーになっているので、私もパートナーという最も上のポジションだった頃は経営者と話し合い、アドバイスをしていた。

 それだけに、クライアントの側も企業というよりは、人で選ぶことになる。コンペで一社ずつプレゼンをさせられ、比較される。そして“この人は自分よりも上だ”と思ってもらえなければ、お金を払う価値がないとみなされてしまう。そういう中では、いかにお客様をたらしこめるかも能力のうちになるし、どんなことでもできることが要求される。業界でよく“地頭がいい”という話をするが、これは知識量の多さではなく、処理能力の高さということだ。

 そういうこともあって、新卒でコンサルティングファームに入るのは意味がないという意見もある。確かに、コンサルタントはピンキリだし、“あいつ、大手のコンサルでかっこつけてるじゃん”という人もいる。しかし“私はこの業界のこれしかできません”というコンサルタントは、そのうちにプロジェクトにアサインされなくなってしまう。新人にとってはきついだろうが、なんとか専門性を掴み、“何でも屋”になれた人が上がっていく業界だ」。

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 そんな厳しい世界に生きる大手ファームのコンサルタントたちだが、環境の変化も起きているのだという。

 「最近では“お医者さん”だけでは食べられなくなってきている。皆さんも“DX=デジタル・トランスフォーメーション”という言葉を聞くことがあると思うが、“占い師”になることが求められてきている(笑)。どういうことかと言えば、今までは問題解決のためのアドバイザー的な立場だったのが、10年語の未来を予想し、作っていかなければならなくなってきているということだ。

 例えば自動車業界で言えば、テスラのような、以前は予測できなかったものが急に登場する時代になってきた。しかもテスラの次はどうかというのは、テスラを分析するだけでは分からない。この非連続的な変化に対応しなければならないので、コンサルタントという仕事がより難しくなってきている。だからとんでもないパフォーマンスを出さなきゃいけないし、それは能力が高いだけでなく、徹底的に時間を使わなければならない。我々の世代だと、電車で帰れるということはほとんどなく、13カ月間、休みがなかった時期もあった。

 一方で、労働基準法なども厳しくなってきているので、ホワイトな労働環境になっていることも事実だ。そして僕の感覚だと、昔はパートナーになるのが夢だったが、最近の若い人の中には、“3年以内に独立するので、そのための勉強をしたい”という目的で入ってくるケースも増えていると思う」。(『ABEMA Prime』より)

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